縛り付けられたように部屋にいる。だから、憂さ晴らしに酒を飲む。

自分一人で時間を潰すことができる能力のことを「教養」というと、どこかに書いたことがある。自説に従えば、おれには教養がないのだ。酒を飲まなくてはどうにも時間を消費できない。

――中島らも

 

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「楯野川 純米大吟醸 清流」、お恵みいただきました。普段、紙パックの「菊正宗 上撰」あたりで満足していますが、やはり違いますな、なにかが。なんかちょっとだけガス感もあり、飲みやすい。ガブガブ。

……と、世間ではリモートワーク人がガブガブやりながら仕事をしているなんて話があるらしいじゃないですか。

 

gigazine.net

もちろん、こいつはあんまりよくない飲酒だぜという話である。飲酒自体に酔いはあっても良いはない、のかもしれないが。

 

p-shirokuma.hatenadiary.com

さて、おれはというと、目下のところリモートワーク人ではない。むしろ、「おまえは一番下っ端だし、通勤も自転車か歩きだから通勤要員な」ということになっている。電車に乗りもしないし、会社も街外れにあって寿町人のじじいが酔っ払って奇声をあげながらうろついているくらいで、あまり人口密度も高くない。おれは、比較的安全なのである。

それに、これはおれにとってもありがたい。なんといってもおれは在宅勤務に耐えられない。なぜなら、おれは自宅を「物置きおよび道で寝なくて済むだけの場所」と考えていて、まあゴミ屋敷とは言わないが、居心地のよい場所にはしていない。部屋を整える金もないが、それ以前におれは掃除だの整頓だのが大の苦手なのだ。そこにずっといるなんて、ちょっと耐えられない。

とはいえ、タイトルのとおりである。土日である。土日。外出自粛要請もあって、おれはずっと部屋にいる。もとからそんなに外に出る人間ではないが、縛り付けられたように部屋にいる。図書館も閉まっているので、一万歩以上の散歩に出ることもない。

だから、憂さ晴らしに酒を飲む。おれは毎晩酒を飲んでいるが、土日ともなると昼から酒を飲む。起きて最初に口に入れたものがビール、ということもある。そして競馬をする。負ける。また酒を飲む。

いや、まだ土曜日はいい。土曜日は競馬が終わったあと、コンビニに日曜の競馬欄目的で東スポを買いにいかなければいけないからだ。おれはわりと酒を飲むと顔が赤くなる。そういう状態で、夕方に東スポを買いにコンビニに行くというのは、おれの美学に反する。譲れない美学。べつにだれも気にしちゃいないが。だから、土曜はコンビニから帰ってきて、東スポを読みながらゴクゴク飲み始める。この季節だと、まだ明るい。

ひどいのは日曜日だ。さっき書いたみたいに、午後一時とかに起きて、「tvkの競馬中継まで一時間あるな」とシャワーを浴び(おれは毎日必ずシャワーを浴びることにしている)、そのあとプシュッとビール。ぬるいモエでもご愛嬌だが、まあモエはない。そのあと、長時間飲酒に突入する。ビールなんてのはゴクゴク飲んだらすぐになくなってしまう。酔うかというと、起きがけのビールというのはわりと回るものだが、やはり足りるはずもない。そこから、ショットグラスかなにかに焼酎やらウイスキーやらを注いでは、ストレートで飲み干していく。とてもじゃないが外には出られない。出る必要もないが。そして、夜になると、手動チョッパーでキャベツとニンジンを粉々にしてコーンを添えてマヨネーズと酢、そして塩コショウと砂糖を少々でコールスローサラダを作り(われながらめんどうくさいことしてるな)、それをつまみに飲み、野菜を蒸してそれをつまみに飲む。夜のニュースでコロナ情報(世の不幸)を見ながら飲み、そろそろ寝ようかと思いつつネットをしながら飲む。

しかしまあ、おれの酒はほとんどひとり酒よな。一つに外で飲む金が無い、もう一つに一緒に飲む人がいない。人と一緒に飲むと、意識がそちらに向くとかいう。

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酒乱になる人、ならない人 (新潮新書)

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一方、仲の良い友人と一緒に飲んだ場合は、その間はストレッサーから注意がそれていたためにストレスが解消されたと考えられる結果が観察されました。この現象は"attention-allocation model"と呼ばれ、これは要するに飲酒時に注意がどこへ向いているかということが、ストレスが解消されるかどうかに大きな影響を与えると解釈されます。なんとなく分かるような気がしますね。

まあ、おれには縁のない話だけれど。ただなんだ、今流行りだかなんだかの「リモート飲み会」でも同じ効果はあるのかな。そのあたりだれか調べてイグノーベル賞でも目指してほしい。あるいは、石黒教授にリモート飲み仲間アンドロイド作ってもらうとか。

しかしなんだな、おれ、年に何回あるかわからんけど、外で飲んでもほとんど顔色変わらんのよな。というか、あまり酔わんのよな。一人飲みするときの酒量に比べたらぜんぜん飲んでないというのもあると思うが、やはり外は緊張感が違う。なんか、そういのはあると思う。

ああ、でもな、おれ、部屋でひとり酒してても、ウトウトすることはあっても、盛大になにかやらかす(作りたてのカップ麺をベッドのうえにぶちまけるとか、誤ってメガネを踏み潰すとか)ことないんだよな。ウトウトしても朝までということはないし、寝る前は必ず歯磨きをして、抗精神病薬を決められた量だけ飲み(よくない)、SAS用マウスピースをきちんと装着する。

……って、単に長年の習慣的飲酒で酒に強くなってしまったのだな。それと引き換えに、脳細胞は死に、内臓にはダメージが蓄積し……。

「静かな」アルコール依存症は問題行動や犯罪などを犯して人に迷惑をかけることは少ないのですが、その人の人生の生産性、創造性ということを考えれば重大なマイナスになっていることが多いのです。始終酒ばかり飲んでいる人には、社会的に重大な仕事は任せられるはずもないわけです。また、いろいろな生活上のストレスに対してもすぐに酒に逃避する癖がつき、生活の質を向上させるということもできないでしょう。しかし、この「静かな」アルコール依存症については、本人がそれでいいと思っているならまあいいじゃないかという考えも否定することはできません。

まあ、いいじゃないかって依存症の専門家も言ってるじゃないか。というわけで、おれはこれをやめるつもりはない。まあ、いいじゃないか。もうじきこの世はおしまいだ。だから、あんたも家を出るな。酒を飲め。そしておれに酒をおくれ。それだけだ。

 

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