練習しかできないプロ野球選手のことを思う

LAKARU(ラカル)野球 練習用ネット リバウンドネット リターンネット ピッチングトレーニング バッティングトレーナー 壁あて 投球練習 携帯 自主練習 調節可 ソフトボール 軟式用 133 * 92 * 72cm 説明書付

このところよくプロ野球選手のことを考える。今現在、シーズンが始まったどころか、対外練習試合すら行われていない。ずっと練習している。練習しかできない。ひたすら鍛えている。本来なら実戦で金を稼ぐ選手たちが、無観客練習だけしている。だからといって練習しなくていいわけでもないので練習する。練習しかできない。

もちろん、世の中にはもっと困ってる人だっているし、死にそうな業界もあるんだぞ、と言われればそうだろう。

しかし、プロ野球選手とてずっと練習してるんだ。試合がない。試合があって、お客さんが来て、お金を落として、給料になる。試合が中継されて、お金になる。それができない。

お金のことを置いといても、やはりつらいものがあるように思う。本来の開幕に合わせてばっちり調整してきた選手は、そのままの調子を維持することができるかどうかわからない。伸び盛りの若手が、オープン戦などで好成績を出して、もっと試合に出てアピールする、今がチャンスだというときに、練習しかできない。もう年齢的に引退もしくは戦力外通告の文字がちらついているベテランは、確実に肉体が老いていくのに試合に出られない。若手に混じって練習するしかない。今がキャリアハイくらいで、今年活躍して来年はメジャーだ、なんて選手も、一番いい今という時期を練習して過ごすしかない。そもそもメジャーリーガーも練習するしかない。怪我などして「開幕絶望」と言われていた選手にとってのみ、開幕延期はありがたい話かもしれない。ただ、いつまで延期するのか先が見えない。

プロ野球選手の周辺にしたって辛いところだ。スタジアムでビールを売る人は、ビールを売ることができない。ビールを売る練習をするしかない。するのかな。スタジアムのなかの飲食店も開けないし、阪神園芸だってバラでも育てるくらいしかすることはないだろう。プロ野球の中継というものもないから、アナウンサーも解説者も練習するしかない。カメラマンも練習を撮るしかないだろうし、もしかしたら部外者出入り禁止でレンズを磨くくらいしかできないかもしれない。

野球を報じたり論じたりする人も、報じたり論じたりすることが少なすぎて困ってしまう。育成選手まで全員の調子をレポートしても、そこまで需要があるかどうかわからない。長い歴史をひもといてみるような記事も、そればかりだと飽きられてしまう。野球ファンは贔屓のチームがとてもいい勝ち方をしたからスポーツ新聞でも買うか、という機会もないし、ずっと練習だけしている選手の練習の話を読むのも飽きてしまう。

今、日本にはプロ野球が不在であって、本来なら野球やってる季節なのに野球がなくて、野球やってないな、と思ってしまう。プロばかりでなくアマチュア野球の大会なども開催されないし、スカウトも困ってしまう。野球をやりたいのに野球ができない野球選手がたくさんいて、なかにはたいへん野球が上手なプロの選手もいて、それでもまだ現役を諦めざるをえなかった惜別球人に比べればましだけれど、練習しかできない。野球は困ってしまう。