エドワード・ホッパーとスルメイカのお恵みの夜

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「あら、このスルメおいしいわ」

「へい、北海道産のいいもんですから」

「大将、麦焼酎のロック、おかわり」

……ああ、世紀の大名作絵画「Nighthawks」が居酒屋の一場面になってしまった。もうこのレストランの店員が大将にしか見えなくなってしまった。

というわけで、お恵みいただきました、スルメイカエドワード・ホッパーの本。

 

 

Edward Hopper: 1882-1967: Transformation of the Real (Taschen Basic Art Series)
 

 

なぜこの組み合わせで同日にお恵みが届いたのかわからない。わからないが、スルメイカを肴に一杯やりつつホッパーを勉強しろ、という話かもしれない。おれはそのようにした。

が、おれはこんな立派なスルメイカを買ったことがないので、どうしたらいいかわからない。パッケージを読むと、軽く焼いて、とある。網なんかない。フライパンでいいのか? いや、網で熱するといえばオーブントースターでいいか。おれはオーブントースターに入れた。どのくらい熱するのか。よくわからない。なんか脚が動いている。イカは生きている。しばらくすると、表面にポツポツ膨らみが出てきたので、「これはもう食べごろなのでは?」と思って出した。

ホッパーは「Nighthawks」についてこう語っているらしい。

Nighthawks seems to be the way I think of a night street. I didn't see it as particularlyl lonly. I simplified the scene a great deal and made the restaurant bigger. Unconsciously, probably, I was painting the loneliness of a large city.

ちなみに本書では「Unconsiouly」と誤植している。

……え、黄金頭さん、英語読めたの? すごい! と思われた方はちょっと待たれたい。おれは高卒の英検準二級であって、英語なんて読めねえ。まったく読めねえかというと、ンコ語よりはぜんぜん読めるが、なんとなくわかっても、肝心な単語を知らないし、必要な言い回しがわかってない。ようするに、なんとなくだ。で、どうするかといえば、機械の力でこうするのだ。

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iPhoneGoogle翻訳アプリに画像で読み込ませる、これである。ただ、これではやはり意味がわからん翻訳をされるし、「この単語わかんねーなー」という単語がどの部分かもわかりにくい。もうちょっと翻訳精度があがって、ARなんかが発達してくれたらいいと思う。おれが英語を学習するより期待できる。

おれはスルメイカをがぶっと食った。パッケージにしょうゆかマヨネーズとあったので、マヨネーズをつけた。歯ごたえがある。噛んでも噛んでも食い終わらない。そうだ、おれはスルメイカ自体を食うのがひさしぶりだ。一気に口に入れすぎた。もっと細くちぎって、じっくりと味わうものじゃないのか。もっと小さくちぎって。

タッシェン - Wikipedia

タッシェンが掲げる使命は、革新的で美しいデザインの美術書を、大衆的な価格で提供する、というものである。例えば先述したアイコン・シリーズは、1年に数冊の新刊が出版され、1冊の価格は10ドル程度に抑えられている。また、廉価な画集シリーズであるタッシェン・ベーシック・アート・シリーズ(Taschen Basic Art)では、1冊につき1人の画家が扱われており、ミケランジェロのような古代の作家から、ノーマン・ロックウェルなどの現代美術作家まで幅広く取り上げられている。

タッシェンはドイツの出版社であった。本書は「Basic Art」シリーズの一冊である。なので、読者はヨーロッパ圏を想定している。ヨーロッパの人に「ホッパーといえばアメリカっぽいアメリカの画家だよね、でもね……」という内容のものを、英語で英語の読めない日本人のおれが読む。無茶苦茶だ。

スルメイカのパッケージには、焼いて食う以外に、なんか浸けたりすると美味いぜ、みたいなことが書いてあった。そういえば、松前漬けとかにスルメ入ってんなとか思う。枚数5枚、1枚食ったので残り4枚。レシピを見て簡単そうだったら浸けてもいいんじゃないか。

本書のカバーの紹介文にはこうあった。

This book presents key works from Hopper's oeuvre to introduce a key player not only in American art history but also in the American psyche.

not only/but also、これ、進研ゼミで見たやつだ! というのはともかくoeuvreというのがわからん。わからんので検索してみたらフランス語で「(ある作家の)全作品」という意味らしい。適当な英単語が無いのであろうか。いずれにせよ、ホッパーはAmerican psycheのkey playerなのである。ざっと本書を見たところでは、画家でアンドリュー・ワイエス、エリック・フィッシュル、小説家ではレイモンド・カーヴァーなんかの名前が出てきた。やっぱりアメリカっていうと、そういう感じなんだよ。いや、おれの好きなアメリカというべきか。

するめを醤油、味醂、調味料等で味付けして2日間位漬込み、焼き上げますとやわらかくなりおいしくお召し上がりいただけます。

調味料等、の「調味料」とはなんなのか。しかし、けっこう魅力的な提案ではある。スルメはかたい。いや、そのくらいたまには顎に運動させろよという話ではあるが。ただ、旨味のかたまりであるスルメをさらに味付けして、なおかつやわらかくいただけるならなかなかいいじゃないか。でも、何で焼くのか? やっぱり網だよな。100円ローソンに網売ってるかな。焼き網くらい持ってるような気がしたが、見当たらねえし。

それにしても、日本で大規模なホッパー展やってくれねえかな。さすがに「Nighthawks」もってこいとは言わないけれど(本当は言いたいけれど)、もっと見たいのだ。実物の「Sunday」はすばらしかった。

と、ここまで書いて衝撃の事実を公表しよう。いや、少なくともおれには衝撃だった。

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おれはどうもこの本を持っているらしい。しかも、手に入れたのは5年前だ。はっきり言って、完全に記憶にない。そして、ブツの見覚えもない、見当たりもしない。……ん? 図書館で借りた? ……よかった、横浜市中央図書館にある! しかも日本語版が。上の記事でおれがなんの躊躇もなく(機械訳ですが、とか、拙訳ですが、とか)日本語を書いているのは、そういうことだ。つーか、タッシェン・ジャパンで、著者欄には翻訳者の名前あんじゃん。あー、よかったー。えー、よかったのー? まあよかったよ(以上、リアルタイムでお送りしました。本当に)。しかしだねえ、なんか上の記事に引用している訳文、もうちょっといい感じにならんかな。いや、前述の通りおれは二十年以上前に英検準二級とったあと、受験英語をちょっとやったくらいなのだが。それにしても、記憶ってなくなるもんだねー。いや、おれの記憶力は直近、ちょっと前、だいぶ前、すごく前、全部あやしいのは自覚しているのだけれど(病的なものでなければいいが、というレベルで)。

ともかく、おれが焼き網を持っていないのはたしかなので、100円ショップで買えれば買おう。なぜ100円ショップか。目下のところ、スルメイカを焼く以外の用途が思いつかないからだ。ただ、スルメイカを適した方法で焼くのに100円なら、なっとくのお値段だ。そういう話である。もちろん、みなさんがもっとスルメイカを恵んでくれたって構わない(何様?)。

まあ、こんな感じでエドワード・ホッパースルメイカの夜はふける。そういうものだ。

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……ちなみに今回「お恵み」タグ100回記念でした。もっとくれ。

 

くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡

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……なんと、『Sunday』一作しか見ていなかったか。

 

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……ホッパー表紙本。

 

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……これもホッパー表紙本。

 

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……やはりホッパー表紙本。