囲碁と暴力 映画『神の一手』をみる

先日こちらの映画レビューを読んだ。

jasonrodman.tokyo

山奥の廃寺にて人知れず少林寺スタイルで囲碁と格闘技を磨き、気が付けばすっかりマッシヴになったクォン・サンウ
そんな彼が満を持して下山!
今は亡き師匠、そして姉の無念を晴らすべく、囲碁ときどき暴力で因縁の敵にお礼参りを始める!
…というのが本作のあらすじだ。

わけがわからん、と思った。

わけがわからんが、暴力のある韓国映画ならば面白いに違いない。しかし、囲碁と暴力?

……と思ったら、記事中でも記事のブックマークでも言及されている『神の一手』という囲碁バイオレンス映画があるというではないか。おれは韓国ノワール映画はだいたい見たつもりになっていたが、まだまだ修行が足りないようだ。

 

神の一手(字幕版)

神の一手(字幕版)

  • 発売日: 2015/12/21
  • メディア: Prime Video
 

プロ棋士テソクは、兄の頼みで一度だけ危険な“賭け囲碁"に協力するが、その世界の元締めサルスの一団に兄を殺され、自身も殺人の罪を着せられて投獄されてしまう。
すべてを失ったテソクの心深くに宿るのはサルスへの復讐心。
独房の壁に碁盤を描き、隣の独房囚人と壁越しに始めた囲碁対局で腕前を磨き、肉体も鍛え上げていく。
やがて出所したテソクは、盲目の天才棋士ジーザス" 、片腕の細工師モクス、イカサマ棋士コンスらとチームを組み、ついにサルスと対峙する。
一度は人生を諦めた男たちは、それぞれが抱える野望を胸に、負ければ自分が死ぬ運命の勝負に“神の一手"で挑んでいく――!!

もうこれだけでお腹いっぱいじゃないですか? しかも、真剣師(と、翻訳され、さらに台詞で「賭博のプロだ」みたいな説明があったので、韓国語にも「真剣師」という言葉があるのかもしれない)の戦いではなく、遠隔通信で行われるサマ行為がほとんどだ。そのあたりも闇感強くていい。ちなみにおれは囲碁がわからない。囲碁がわかったら「神の一手」っぽい手がわかったかもしれない。ちなみに、ちゃんと韓国囲碁協会みたいなのが監修しているらしい。アンダーグラウンドで暴力囲碁の映画なのに太っ腹だ。

でもって、暴力である。韓国ヤクザ映画などでよく見られる短剣によるぶっ刺しあい、これも真剣師トム・クルーズ似の(映画見ている間、「トム・クルーズ」という名前が思い出せなくてちょっとイライラした)チョン・ウソン(いま検索してみたらそのまま「韓国のトム・クルーズ」と呼ばれていた)が躍動する。「デコピン10発」なのである(えげつないのでぜひご覧頂きたい)。

というわけで、これは見事に「囲碁と暴力」の映画であった。将棋ファンとしては、これを翻案して、日本将棋連盟監修で「将棋と暴力」の映画を見たいなどと思わなくもない。将棋と暴力。丸山忠久九段の筋力がものを言うのだろうか(竜王戦での対藤井棋聖は見事に激辛だった。藤井棋聖もご飯大盛りなどでパワーをつけていってもいいだろう)。中川大輔八段などが出演してもいいだろう。将棋ノワール

しかしまあ、ようこんなん思いつくよな。そりゃ、世の中にはチェスボクシングが実在しているわけだけれど。

チェスボクシング - Wikipedia

人間のすることはまことに奇っ怪だ。とはいえ、真剣、代打ち、賭博と闇社会となるとそんなに遠くはないか。そういや、作中で全自動卓使った日本式麻雀をやっていて、あれ、韓国って日本式麻雀なん? とか『哀しき獣』を思い出したりした。

goldhead.hatenablog.com

……中国朝鮮族って書いてある。だからあっちは中国麻雀だったのかな。たしか。って、検索したら韓国麻雀というのもあるらしい。こちらが詳しい。

韓国麻雀 | 韓国学生Levinの麻雀話

たしかにチップでやり取りしてたな……。

あ、なんか話が逸れた。

冒頭の『鬼手』もみよう。そんじゃ。