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タイトルに偽りあり? 『生物はなぜ誕生したのか』

感想文 読書

 

生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学

生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学

 

おれはパンスペルミア説を信じている。空飛ぶスパゲッティ・モンスター並に信じている。とはいえ、おれがパンスペルミア説を信じているのも、ネットの断片的な情報からばかりで、一冊くらい本にあたってみる必要があるんじゃあないかと思ってもいた。そこで手に取ったのが本書『生物はなぜ誕生したのか』である。おれもたまには理系の本を読む。

して、本書の著者たちはパンスペルミア説の支持者である。それは書いてある。

……こうしたことから、四十億年あまり前の火星には生命が誕生しており、しかもその生命が隕石に載って地球にやって来たと考える研究者がいえる。著者ら二人もそうだ。とりわけカーシュヴィンクはこの説を固く信じている。

 とはいえ、本書はこの説についての解説はほとんどないといっていい。生物の誕生というよりも……原題の『A NEW HISTORY OF LIFE』、これである。

大量絶滅 - Wikipedia

たとえばビッグ5と呼ばれる5度の大量絶滅でどういう生物が生き残ってきたか、「酸素、二酸化炭素硫化水素」、あるいは硫黄がいかに生命の性質と歴史に関係してきたかという内容が主である。スノーボールアースはいかにして発生し、溶けたか、そういう話である。

生命そのものの誕生を除き、生命史の中で最も重要な出来事を一つ挙げるとすれば、生物が酸素発生型光合成を発明したことだといっていいい。

 それでもって、酸素の濃度によって節足動物のサイズが変わるとか、爬虫類がそんなに長く走れない(コモドオオトカゲの全力疾走は9m程度)とか、そんな話である。

それはそれでエキサイティングである。さらには、未来の地球、遠ければ遠いほど正確に予見される地球のことまで書いてある。そう、それはそれでエキサイティングだ。

でも、おれはパンスペルミア説の話をもっと読みたかった、というところが残る。この地球に大量の隕石が降り注いだときのことを、その隕石に貼り付いていたもののことを知りたい、というところが残る。とはいえ、まずまず最新(?)の生命史を読めたので、それなりによかったとは言えようか。とはいえ、おれがそれを覚えるということはないのだけれど。