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世界の片隅の情けなさ 映画『この国の空』

 

 この世界の片隅、第二次世界大戦中、終戦の近い空襲下、ある男女、ある家族の……話。べつにあれを観たから、「なんかそんなやつ」と思ったわけではない。これをリストに入れていたのは、荒井晴彦……監督だったからだろうか。よく覚えていない。二階堂ふみがとりわけ好き、というわけでもない。ほんとうに、なんでこれをリストに入れたのだっけ。

それでもって、やはりなんというか、ついこないだ似たようなシチュエーションの作品観ちゃったわけじゃないですか。すると、なんというか、実写なのに、というか、実写だからか、というか、なんとなく作り物っぽさが際立って感じられたりして。空襲シーンにしたって、お金かけてないなというようなものだし。むろん、戦争(戦闘)ものではないのだから、それはそれでいいのだし、配給や闇市経由の食卓とか、農家に着物を物々交換に行くとか、そんなんでも戦争は表現できる。しかしまあ、空襲というものを実写でやるとなると、相当のあれが必要かな、『シン・ゴジラ』くらいの。

……とかはまあどうでもよくて、妻子を疎開させて一人東京に残った長谷川博己がヤシオリ作戦でB29を、という展開はなくて、ひたすらに隣家の二階堂ふみとしたくてたまらんという、そこが面白かった。そんな状況だからこそ、か、そんな状況にもかかわらず、かわからんが、一個のオスとして、ああ、やりたいんだなあという、でも、ガツガツいくわけにはいかんよなあという葛藤、なんというか、その情けない生物であるというのがなんとも、という感じで。まあ、見どころはそのくらい。二階堂ふみもなかなかに存在感はあったが、そこまですごいことを! ということはしていないので。でも、ラストカットはなかなかに昭和風というかなんというか悪くなかった。

ちなみに、母娘が歌っていた軍歌は『空の父空の兄』で、おれははじめて知った。以上。


空の父空の兄

 

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