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屋台で肉を食べる

なにか

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他の二人はがっつりと食べたいようだったが、おれはそれほど腹が減っていなかったので、べつの屋台に向かった。市場の端のほうで、後ろには外が見えていた。カップルが二人、小さな肉と少量のご飯が盛られたプレートを受け取っていたので、おれはそれを食うことにした。

おれは屋台の金を受け取るかかりのおっさんに「一皿」というと、「二百七十円」という。おれはちょうどぴったりの小銭で支払いをする。「ちょっと待って」というので待つ。

振り向いてみると、肉を捌いているところだった。なにか印字された緑色の半透明ビニールから出てきたのは、腹のあたりで縫合された二人の人間の死体だった。「ああ、人肉なのか」と思った。死体の腹のあたりは黒ずんでいた。先に捌かれるのは左側の男のようだったが、板が邪魔でよく見えなかった。

ようやくサイコロステーキのようなサイズになった肉片が屋台の鉄板の上で焼かれた。上にケチャップソースのようなものをかけた。金を受け取るかかりのおっさんから皿を手渡される。皿は小さな陶製だった。おっさんは「店の前では絶対食べちゃだめ!」という。「でも、このお皿は返すんですよね?」と問うと、「捨てちゃって」という。

おれはあるきながら肉を食べた。表面は焼き色がついているが、中身は生焼けというか、なにか冷たかった。ソースもやけに味が薄く、かといって肉のうまみというものも感じられなかった。

さきの二人と合流して、「食べるか?」といって二人にも肉を食わせた。ご飯はおれが食った。陶製の皿はどうしようと思ったが、よその屋台のゴミ袋のなかに捨ててしまった。