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ヤクザとテレビとへのレクイエム『龍三と七人の子分たち』

感想文 映画

 

70歳の高橋龍三は、引退した元ヤクザ。“鬼の龍三”と畏れ慕われた時代はもはや過去のもの。
現在は家族にも相手にされず、社会にも居場所がなく、息子の家に肩身の狭い思いで身を寄せながら、
「義理も人情もありゃしねぇ」と世知辛い世の中を嘆いている。
ある日、オレオレ詐欺に引っかかったことをきっかけに、元暴走族の京浜連合と因縁めいた関係になった龍三は、
「若いヤツらに勝手な真似はさせられねぇ」と、昔の仲間に招集をかける。集まったのは、
プルプルと震える手で拳銃を構えるジジイ、足下がおぼつかないジジイ、未だに特攻隊気分のジジイなど7人。
どうせ先は長くないのだからと盛り上がった龍三たちは勢いで「一龍会」を結成し、京浜連合のやることをことごとく邪魔しまくる。
当然、京浜連合のチンピラたちは、調子に乗り始めたジジイたちを疎ましく思うようになる。
そして一龍会vs.京浜連合の対立は、龍三や子分の家族を巻き込んだ一大騒動へと発展する……!

 と、Amazonの商品紹介にあるが、これを読んでなんとなく想像できるお話ではあった。しかしなんだろうか、龍三が70歳で、現役時代が……と考えると、それでもやはり「義理と人情」でドンパチやって指詰めてた時代と合うのかどうかよくわからない。よくわからないが、まあそんなことはどうでもいいのである。ヤクザ映画にありがちだったヤクザ像と、現代的な、まあ要するに関東連合みたいなのとの対比。そのギャップからくる笑い。

……だが、どうも明日なきジジイたちの暴走に大笑い、というだけにはいかないようだ。ところどころで警察が出てくる。そして、その警察官こそがビートたけしなのである。そのビートたけしが『ヤクザと憲法』的なことをほのめかして、そういう時代じゃないんだ、と諭す。そこに寂しさがある。

寂しさといえば、この映画に出てくるギャグシーン。死体をネタにしたり、バスで暴走したり……これは『お笑いウルトラクイズ』を思い出さずにはいられない……、こんなん今の地上波テレビじゃできねえよなと思う。そういう意味で、たけしは映画でもってできないことをもうひとつやろうとしたのかな、などと思う。

ヤクザ、そしてテレビ。この二つへの鎮魂歌。そんなふうにおれは思った。まあ、そんな見立てが合ってるかどうかわからない。ギャグが本当に冴え渡っているかどうかというのも正直自信がない。でも、『アウトレイジ』のあとにこれを撮っておいた、というのはなんともいえない。そんな気がする。

あ、あと、近藤正臣が『真田丸』と同じような参謀的若頭(若くないけど)やってて、『真田丸』が終わって本多正信ロスになった人は観てみるといいかもしれない。以上。

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