自分の脳味噌ぶっ壊したくて酒飲んでんだよ

今週のお題「家飲み」

「節度ある」飲酒も脳に悪い? 流ちょうさに影響も 研究 (AFP=時事) - Yahoo!ニュース

節度ある適度な飲酒であっても、脳の損傷や知的技能のわずかな低下につながるとの研究論文が7日、発表された。多くの国が定める飲酒ガイドラインに異議を唱える内容だ。

大歓迎な発表だよ。おれはおれの脳味噌ぶっ壊したくて酒飲んでんだ。内臓ぶっ壊したくて酒飲んでんだ。とっととわけのわからない人間、人間ではない人間になりたいんだ。正気を失いたいんだ。ずっと正気を失ったままになりたいんだ。あるいは内臓の疾患で死んでしまったってかまなわないんだ。

というわけでおれは今夜も酒を飲む。ドライジン、泡盛古酒、テキーラシングルモルトウイスキー。ハードリカーでなくてはダメだ。ビールなんかで酔っぱらえるか。どんどん酒がなくなっていく。酒が飲みたい。酒を飲んで、一時的にでいいから、この正気を失わせてくれ。この正気が見てしまう、過去の自分の失敗、今の自分の失敗、そしてさらに絶望しか残されていない未来。すべておれが正気だからわかってしまうんだ。それをわからないようにしたい。おれは目隠しされたい。目をつぶりたい。目をつぶっても脳裏をよぎるものがある。だったら脳だ、脳を騙せ、脳を壊せ、脳を殺せ。そうでなければ、おれは今のところいくらかの正気を必要とする時間の正気すら失ってしまうだろう。

そうだ、おれはいくらかの正気を必要とする時間、すなわち賃労働ももうこりごりなんだ。正体をなくしたい。虚体になったおれがなにもわからない世界を、昆虫みたいに這う、そんな結末を望んでいるんだ。そして昆虫は自動車かなにかに踏み潰されて死ぬ。そんな願いが望外だなんて許されない。だからみんなそれぞれ勝手に一人で酒を飲もう。この世は生きるに値しない。正気で見つめたら気が狂う。だったら先に正気を失おう。それが楽だ。さあ、ゲートに入ったか? ゲートが開いたら、外枠だろうと同型馬がいようと、手綱をしごいて、出ムチをくれて、一目散に逃げるんだ。酒に逃げるんだ。酒で逃げるんだ。今、レースは中盤か? 最終コーナーか? 直線に入ったのか? ゴール板はいったいどこなんだ?

 

 

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