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さて、帰るか

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つくづく自分の甲斐性のなさにうんざりする。ともかく金がない。人脈がない。これといった趣味もない。なにかに打ち込むというところがない。ないないづくしにうんざりする。

本当はたくさんのものを持っているのに、気づいていないだけだ、ともいえる。気づかないふりをしているのだ、ともいえる。そんなこと、おまえに言われんでもわかっとる。

が、おれの心境というものは、つくづく足りていない、という感覚と、その足りてなさを埋めようという気にならない、という感覚が占めている。金がない、ということについては客観的な事実であって、医者もその話になると、それは現実だからね、と話を切り上げる。精神科医というものは非現実を領域としているのだろう。おれは現実のなかで非現実を生きている。

おれはおれがこの世から乖離していっているな、という、そういう感覚は絶えずあって、このごろさらに強まっているような気がしてならない。おれはおれの人生を手放して、上空から見おろしているような感じがする。そっちに行くと惨めな死に方しかないぞ。あ、でも一本道でやんの。

それで平気なのか、自分の人生に戻ろうとは思わないのか。思わないんだな、それが。おれは抗精神病薬とアルコールによって、悲惨な現実をひとときの悪くない非現実に変えてしまう術を知っている。根本的な治療は不可能。戦場ではとりあえずモルヒネを打っておけ。そんな気分。

ほかの、惨めな人生を送っている人間はどうなのだろう? と思わないでもない。おれのように、自分の人生から乖離するような感覚で堕ちていく自分というものを眺めているのだろうか。それとも、もっと目の前のものしか見えないのだろうか。よくわからない。人は人。人は石垣。人は城。猪苗代湖に行ったことはない。今、見頃なのだろうか、猪苗代湖。ああ、おれはこんなに猪苗代湖のことを考えているのに、何県にあるのか知らない。ここだけの話だが、おれは猪苗代湖のことなんて考えていないのだ。

猪苗代湖のことを考えていないのがおれだ。金がないのがおれだ。おれなんか眺めていてなにか楽しいか? おれはKGBのスパイに盗聴までされているんだ。頭の中を回転体監視ドローンがスキャンしている。おれは国際社会に訴えたいのに、英語がしゃべれない。英語がしゃべれないというのは致命的だ。そのうち、牛丼屋で並を一杯注文することすらできなくなる。「ギブ・ミー・スタンダード・サイズ・カウ・ボウル・ワン、プリーズ」。

ようするにおれは一本の川を破滅に向かって流れていっているということだ。その牛丼代をだれが払うというのか。おれだ。おれはそのとき金を持っているのだろうか。日本の通貨は円なのだろうか。すべての先行きは暗い。金銭的、人脈的、技能的な蓄積のない人間の行く末。年金が予告されたとおりに支払われたところで完全に食っていけない未来。そこまで長生きできる予感が一ミリもない現状。笑えるだろう、泣けるだろう。だから、だれかおれになんかくれ。おれはおまえになにもやらない。世の中は不公平にできているのだよ。

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