熟していないアボカドを食べたこと

 先日スーパーでまだ緑色のアボカドを買った。値段は百円だ。それを今朝食べた。表面はまだまだ緑色だったけど、掴むと少し弾力があったのだ。切った瞬間、「まだ早すぎたんだ」と確信した。しかし、ここまで熟していないのを食べるのも初めてだ、どんな味だろう。スプーンですくおうにも、かなり抵抗がある。しかし、その分外皮を残してつるんと果肉が取れる。口に入れる。まるでとろみがない。しゃくしゃく、とまではいかないが、じつに水っぽい。そして、あのトロにも例えられる濃厚な旨みもない。もし、戦前だとかに南方探険をする某博士が原居民の勧めでアボカドを食べたとする。それがもし熟していないものであれば、「土人の勸めでアヴォケイドなる果實を食す。旨み無き事甚だしく賞味に価せぬ物也。然れども榮養價の觀點から緊急の食物或いは密林に分け入りたる軍隊に攜帶せしむるに適する物也」とか書かれてしまうだろう。
 ただ、唯一の利点といえば胃がもたれないことだ。朝から熟したアボカドを一個食べると、けっこう胃が疲れてしまうものなのだ。