新選組!の感想

 佐々木只三郎の死から始まった。佐々木を演じるのは伊原剛志伊原剛志といえば、渡辺謙があまりにもリアルな役柄で涙を誘った『壬生義士伝新選組で一番強かった男』(テレビ東京)で、他ならぬ土方歳三を演じた役者である。その時「この土方はハマり役だ!」とか思ったものだが、こうして『新選組!』を見ていると、もう佐々木にしか見えず、どこらあたりが土方にハマってたのかついぞ分からないのだから、役者というのは凄いものだ。
 ハマり役と言えば、徳川慶喜の行動に悔しさを隠せぬ松平容保筒井道隆。殿様らしさと若い情熱と無力感がいい感じだ。しかし、松平容保本人の写真*1を見るたびに「窪塚洋介に似てるなぁ」と思ってしまう。窪塚演じるエキセントリックな松平容保、ちょっと想像つかない。
 ちょっと色々想像してしまうと言えば、「何か?」の一言だけ登場の榎本武揚。この榎本も、徳川慶喜とともに毀誉褒貶の相半ばする人物。今回も近藤が「江戸に帰って立て直せば勝てる」という台詞が何度かあったが、決して強がりではなく、幕府側が勝てる要素も十分にあったのだ。勝海舟もなんか熱弁してたけど。そこで、実質的に海軍を指揮するところの榎本が下手を打って逃げ回り、函館(箱館)で死ななかった卑怯者とする見方もある。また、若い頃はえらい悪ガキで、その狼藉数知れずという話も。昨夜登場の榎本は、ふらっと現れて洋酒をラッパ飲み。そこらあたり、どうやら悪ガキ系という感じもあって、“バラガキのトシ”と通じるところがあったって描写だろか。多分、函館まではやらないだろうから、ここらあたり想像するしかない。
 函館まで土方と行動を共にする新選組古参はほとんど居ない。永倉新八も袂を分かつ一人。昨夜は妻を殺した薩長の雑兵を二人斬り捨てる。「新選組二番組長〜」って名乗りはむちゃくちゃカッコイイね。思わず司馬遼太郎の『燃えよ剣』のあのシーンを思い出した。その永倉も、次回予告によるとサヨナラのようだ。
 サヨナラになりそうといえば、田中邦衛芸に殺されかけた沖田総司。次回予告の後の名所めぐりで、なんか臨終の場所が紹介されてる。一回早くないかって感じだが、これから場所を転々とするからか。藤原竜也の沖田は一番のハマり役とも思うので、ラストの演技も楽しみにしたい。
 しかしまあ、終わりが近づいてきてしまったなぁという感じ。毎年幕末やってくれよ、というわけにはいかないが、日本史の中でこれほどエキサイティングな時代は他にないと思う。毎年やらなくていいから、まったやってくれよ、と、言わないでもやるだろうな。