大山のぶ代ら5人が「ドラえもん」降板

http://www.nikkansports.com/ns/entertainment/p-et-tp0-041122-0013.html

テレビ朝日側は今春、79年のシリーズ放送開始から出ている大山、のび太役の小原乃梨子(69)しずか役の野村道子(66)ジャイアン役のたてかべ和也(70)スネ夫役の肝付兼太(きもつき・かねた=69)の5人と協議を開始。

 僕は小さいころ、泣き虫だった。ほんの些細なことでもよく泣いた。そんな中でも、特別に泣きわめいたのは、テレビで「ドラえもん」を見逃したときだった。だいたいうっかり寝たりするのが原因。親は、僕が喚きちらしてうるさいのを知ってるから、一生懸命起こそうとする。だけど寝た子を起こすのは容易なことじゃない。そんなこんなで目が覚めて、ドラえもんが終わってることに気づく自分。そうなると、もう火がついたように泣いて、暴れて、「テレビ局に電話して、もう一度放送させて!」と、物騒なテロリストみたいなことまで言う。僕にとって金曜七時は神聖な時間だった。失ったら、二度と取り戻せない貴重な時間だったんだ。我が家にビデオがやって来るのはまだまだ先の話。僕は昭和の子だ。
 さて、いつしかドラえもんなんて見なくなる。もう何年も見ていない。けれど、一つの事だけは気になっていた。「ドラえもんの声はどうするんだろう」。もちろん、ルパン三世の声が変わったり、サザエさんの登場人物の声が変わったりと、そういうので思い出すくらいだけれど。そして、「ドラえもんの声ばかりは換えが利かない。大山のぶ代が元気なうちに、ありとあらゆる単語を録音すべきだ。そして、音声合成技術に託すんだ」などと思ったものだ。
 しかし、よく考えればそれは失礼な話。声優は単に声を出しているだけではない。ちゃんとした生身の人間の演技に他ならないからだ。そして、あらためてドラえもん登場人物の声優の年齢を見て驚く。彼らは小学生を演じているのだ。これは掛け値なしにすごい。機械なんかに代替の利くものじゃない。
 果たして来年からドラえもんは、のび太は、どんな声で喋るんだろう。何千万人もの子どもたちを、笑わせたり泣かせたりしてきた彼らの選択に間違いはないはずだ。もうドラえもんをじっくり見ることもないだろうけど、そう思いたい。