歩いているときに聴きたい音楽

 誰だったか、留置所か何か監獄に入れられて、「予想外だったが、自分の好きな音楽が聴けない事が一番辛かった」というような事を書いていた人がいた。それを読んで、確かにそんなものかもしれないな、と思った。今、自分が自分の好きな曲を聴く局面は、通勤帰宅時だ。ipodなんて流行のものではないけれど、競馬で浮いた金が入ったときに買った、NEXTWAYというメーカーの携帯用MP3プレーヤー。容量は256MBで、USBでブッ差して普通のメディアと同じようにファイルの出し入れができる。かなり小さい点も気に入っている。
 そんなわけで、何ギガバイトもあるやつと違って、たまに中身の入れ替えをする。これがちょっと楽しい。今入っているのは、スウェードのラストアルバム(になるのかな?)『A New Morning』。引っ越しの時に、多分親父の混ざってこっちに来たんだろうグレイトフル・デッドの『アメリカン・ビューティ』。ジョニ・ミッチェル御大の『Both Sides Now』。それに、クラウドベリー・ジャムのアルバムと、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ。
 基本的に洋楽が多くなるようだ。あんまり歩きながら歌詞を意識したくないからかな。歌詞を意識したくないといえば、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコは「The Black Angel's Death Song」って曲を聴きたくて入れた。この曲、何故か別のアルバムに入ってると信じ込んで、いろいろCD引っ張り出したりして大変だった。なんでそんな思い込みしたかな。
 そういえば、自分のCDの保存の仕方はちょっと無茶苦茶だ。引っ越しの時にケースと歌詞カードをばらして、CDは傷ついてもいいやって生CD-Rのように積み上げ、歌詞カードとジャケットはごっそりビニール袋のに詰め込んである。空のCDケースの残骸は、大きなポリ袋二袋半くらいになったっけ。それがけっこう重いので驚いてしまった。「これがアナログの重みか」と、デジタル時代に一人思いを馳せたりはしなかったと思う。引っ越しするのに、音楽を聴いたりそんなことを考える暇など無かったのだ。