ダイソー文学シリーズはいいぞ

 昼休みにダイソーで色々の買い物をした。あれこれ見ていると、冠婚葬祭本や薄い英和辞典に混じって「ダイソー文学シリーズ」なるものが。夏目漱石太宰治の名前が並んでいる。ちょっと開いてみると、「青空文庫からダウンロードして編集」とある。とりあえず一冊買ってみた。中原中也『在りし日の歌』『山羊の歌』が一緒になったやつだ。
 パラパラとめくってみた。これからメモするのは詩の感想ではなく、本の感想だ。全体的な感想から書けば、これがなかなかいい仕事をしている。二色刷で、本文は黒、下段の脚注は赤系の色を使っている。文字は読みやすい大きさで、脚注もあまり気にならず便利。紙は書籍用の安いやつっぽいけれど、それがかえって落ち着いた色という感じ。オマケも充実していて、ちゃんと「中原中也記念館」提供の写真が載っていたり、略歴や解説なんかもある。
 ちょっと難癖つけるならば、まずは表紙。「汚れつちまつた悲しみに……」のフレーズが、帯風にデザインされた下部に載っているのだが、これがしょうもないPOP体で、そりゃどうかと思った。高級感を出せとは間違っても言わないが、上の方が落ち着いてるだけに、ちょっと変だ。そしてオマケの一つである「スピーチ・手紙に使える文例」。これはそういうのに向いた著書にはいいだろうけど、正直これには無理があった。最後にちょっと気になったのは、ルビ。これは心底どうでもいい話なのだけれど、一つの漢字に対しての頭揃えになっているのだ。これはちょっと珍しいと思った。そんなところだ。
 もう一度言うけれど、これはなかなかの出来映え。教科書風でもあり、ちょっと懐かしい気分にもなれる。さらなるラインナップの充実を望みたい。