草間彌生展(東京国立近代美術館)へ行った

http://www.momat.go.jp/Honkan/Yayoi_Kusama/
 琳派展の時の帰りに告知を見て来なきゃねと思っていた草間彌生展へ行ってきた。想像通り脳と目が疲れてしまったが、行ったかいがあったと言わねばならぬ。「単に水玉を病的に‘書’いてるだけじゃないか」とか「鏡のやつなんて遊園地のビックリハウスみたいなもんじゃないの?」とか言いたい人もあろうが、実際に作品を見たらそんなことは言えない。恐ろしく、チャーミングな作品。
 一番近年の作品があった。見たことのないスタイルの絵。シンプルに白地に黒の線で、少女の顔やお人形さんみたいや小物、文字など。単なる落書きのよう。だけど、それが一番よかった。不思議だ。
 映像作品の部屋。ブラックライトで水玉が光る。置いてあった新聞にも貼ってある。奥に水と多層の合わせ鏡とランプで出来た『水上の蛍』。行列一歩手前で入れてラッキー。長いことは居られなかった。待合室的になっている部屋。映像作品は、怪しげなアンビエントというかお経の音楽に乗せて、早回しの草間が木や犬や人体に水玉を貼ったりしてる。寝転んでる猫に葉っぱを置いたりしてる。はじめは無視していた猫が、「なにしてんだよ」と手を出して噛み付いたりする。そこはどう見ても笑いどころだったのに、みな真面目に見てた。いや、絶対に笑うところだって。
 上下に合わせ鏡。怪しく色を変えて光る『天国への階段』は地下に永遠に天上に永遠に続く。見ていた子どもが、「これは鏡なんだよ」「鏡だよ」と得意げに親に言う。なるほどこれは鏡だ、鏡に過ぎない。お前は正しい。しかし子どもよ、これを見て何か不安になったろう。あるいは面白いと思ったろう。俺はこの展覧会にもっと子どもがいればいいと思った。気ィ狂ってもしらないけどな。