競走馬〜オレの必殺技〜

 今日の日刊スポーツ紙面より

たたき3走目で激走の期待もかかるヒシミラクルは、騎乗者を振り落としてカラ馬のまま坂路を上がってしまい、4ハロン55秒6―14秒6を計時した。しかし島助手は余裕の表情「少し時計が速くなっただけで、馬が自分でセーブしていた。(〜後略)

 「名馬はレースが近づくと自分で体を仕上げるという。しかし、七十年の中央競馬の歴史において、騎乗者を振り落として自分だけで坂路調教をして有馬記念を勝ったのは、この時のヒシミラクルだけである」と、近藤唯之が後に書きそうなエピソードじゃありませんか。「もう終わった馬」「引退させてやれ」なんて言われても、馬自身はちゃーんとわかってる。「本当に強いのは俺なんですよ」と。叩いて叩いて結果を出してきた馬が、前走では先行する新味まで見せた。これで有馬記念ヒシミラクルを買わないなんて、人生損してるよ。……とまで書いておきながら、私は有馬記念で別の馬を買うかもしれない。男の人生なんて、発売締め切りのベルが鳴るまでわからないものなのか。