報知オールスターカップ観戦

 有馬記念を待ちかねた挙げ句、一足早く競馬に行ってきてしまいました。川崎競馬場報知オールスターカップです。私が川崎競馬場へ行くのは、本当に久しぶり。最後に行ったのは、他場開催を買いに行って以来。わざわざ多場目当てに行ったのだから、よほど買いに行きたかったんだろうけど、それが何なのか今では思い出せないからいい加減な話。
 まず、第一の感想を書きたいと思います。寒い。天気はよく晴れていて、陽射しも強かった。けど、風がとっても冷たくて、暖かいコーヒーと冷たいアイスクリームを一緒にいただいてるみたい。それで、だんだんコーヒーが冷えてきて、アイスクリームがドライアイスに。私は電撃ネットワークじゃないんだから、さすがにそれはダメだ。人間が屋外で何かする、とりわけ娯楽をするって気温じゃなかった。
 「だったら室内でやればいいじゃないか」と言われてしまうかもしれないけれど、娯楽だからこそスタイルもある。私の川崎での観戦場所は、一コーナーの前とパドックを往復するというもの。券売機も払戻機もトイレも近い。オッズを見るためのテレビ付近は暖房があって、ゴキブリみたいにみんな集まればそれなりにあったかい。
 そういえば、ここらあたりの柱には、柱にへばりつくタイプの予想屋のおじいさんがいたと思う。「万シュウ〜、万シュウ〜」と繰り返すばかりで、お客さんなんて誰もいなくて、誰にも相手にされていなかった。けれど、ちゃんと識別票をつけていたから、公認の予想屋さんだ。この日は、柱に黒板はあったけど、おじいさんの姿はなかった。黒板には、「ダニ」「南京虫」「死ね」などと落書きされていた。
 そして、昨日の私も「南京虫」ていどの予想ができない。さっぱり当たらないし、さっぱりレースが見えない。もちろん、「レースが見える」ほどの競馬通なわけはないけれど、どう組み立てようかというのまで、さっぱりわからない。寒さのせいもあったろうけど、内外の有利不利の少ないコースレイアウトが苦手なのだ。昨日はとりわけ、内外で先行馬が争うと、内が譲るケースが多かった。これじゃどう買っていいのかわからない。まことに身勝手な愚痴だとは思うけれど。
 結局、メーンまでに当てたのはしょぼい馬単一本。その前に頼みしていたのが、多場の名古屋グランプリというのだから仕方ない。それ以上に仕方ないのは、それすらも外してしまったこと。本命にしたのは岩手のデンゲキヒーロー。父サクラローレルで、昨年の東京大賞典で四着の実績。三歳馬と上がり目なさそうな中央馬より、こっちだと思ったのだ。それに、鞍上は陶文峰騎手。中国黒竜省出身の中国人騎手なのだ(http://www.iwate-np.co.jp/news/y2000/m200004/n20000413.htmlの一番下、http://mura2.fc2web.com/e_kanji/index.htm応援サイト)。別に中国出身だからなんだという話だけれど、応援したくなってしまう。というわけで、デンゲキヒーローと岡部幸雄御大のワイルドソルジャー馬単折り返しと、デンゲキから数点流しを買ったのだ。正直、けっこう自信あったんです。で、レースも予想通りの岡部ペース。デンゲキは外を回らされて三番手。最終コーナーで前二頭より早く手が動き始めて、結局三着まで。二着に粘ったスナークレイアースには頭が下がります。
 さて、こちらのメーン。一番の実績馬はエスプリシーズなのだけど、長期休み明けで混沌模様。そんな中、岩手から遠征のウツミジョーダンに注目が集まった感じ。ひと月の間に二度の遠征はどうかと思ったけど、パドックで見たら落ち着いていて体調も悪く無さそう。地元九戦無敗のブルーローレンスなんかも人気してた。エスプリは今まで見たことなかったけれど、元気いっぱいという雰囲気ではなかった。よく見えたのはベルモントソレイユ
 というわけで、寒さのあまりソレイユ(太陽)を求めたわけではないのだけれど、御神本訓史君に逃げ切りを期待して、こっから入りました。本線はウツミジョーダン。休み明けは軽視の方向で。そしたら、ちゃんとハナを主張してくれたのだからたまらない(この程度で喜んでしまうほどこの日は酷かった)。ちゃんと四角まで引っ張って、ちょっとだけ夢を見たのだけれど、意外にも休み明けの古豪ブラウンシャトレーが抜け出したりする。ええー、と思う間もなく、三角あたりで鞭が入っていたウツミが強襲。きっちり差し切るあたり、及川サトルが強調していたとおり「岩手のリーディングジョッキー」だけあるってところ。馬自身の実力も大したもので、統一重賞に手が届いてもおかしくはないって感じです。三着は、後方一人旅を決め込んでいた山田信大のイシノファミリー。まさに山田スタイル。ベルモントソレイユは四着に粘った。このくらいの距離の方が、ペースが落ち着いていいってことはないかしらん。
 ああ、結局凍えるオケラ街道。この借りは有馬であるいは大賞典で、という気力すら奪われる川崎の夕暮れでございました。