苦悩するアナン氏の憂うべき苦言について

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050106i216.htm

アナン国連事務総長は6日、記者団に対し一連の動きに関し、「これは美人コンテストではない。資金額の多さが重要なのではなく、各国がそれぞれ出来る範囲で貢献してくれることが大切なのだ」と各国にクギを刺した。

 インドネシアスマトラ沖地震の被災地へ、各国が競い合うように支援金を出し合っている。それに対してのアナン氏のコメントが上に引用したものである。そして、それに対する今朝のテレビ朝日のワイドショー・コメンテーターの反応は以下の通りであった。まず、フィギュア萌え族で物議を醸している大谷昭宏氏は「日本は金ではなく、自衛隊を万単位で送るべきだ」と主張。それに対し、行列の出来る法律相談所のおばさん弁護士は「国の面子のためだろうと、国際政治的意図があろうと、支援金は多ければ多いほどいいのだから構わない」という現実的な意見。最後に、これまた法律相談所の橋本弁護士は「巨額の支援金をスマトラに送る前に、まず新潟に目を向けるべきだ」と、ちょっと目先を変える意見を出した。そして、私はどう思ったか。それは、「なんでたとえが‘美人コンテスト’なんだ?」という疑問であった。
 もしもアナン氏が「これはオークションではない」と言ったのならば、実に納得できる比喩と言える。これは実際、ネット上でもちらほら用いられている表現だ。では、なぜアナン氏が「美人コンテスト」と言ったのか。
 一つ目の仮説。単にこちらが違和感を覚えているだけで、何かを競い合う(この場合では金額)姿を、美を競い合うコンテストに例えただけ、というもの。別に国連の事務総長だからといって、最も適切な比喩を述べなければいけないわけでもない。あるいは、英語として何か慣用句があったとしても不思議ではないし、我々の思い浮かべるミスコンとの違いがある可能性もある。
 二つ目の仮説。「ミスコンなんて、裏金を幾ら積んだかで決まるんだよネ」という、アナン氏の遠回しなミスコン批判という可能性。しかし、なぜこの場面で、という疑問が残る。
 三つ目の仮説。誤訳。というわけで、アメリカのYahoo!などから検索してみる。こんなのが出てくる。
http://www.stuff.co.nz/stuff/0,2106,3148886a12795,00.html

The European Union warned against nations trying to outbid each other in a "beauty contest", without being sure the money would be well spent.

 「EUは各国に対し、支援金運用の確固たる見込みなしに、‘美人コンテスト’でしのぎを削りあうべきではないと警告した」……とでもなろうか。む、これはアナン氏のコメントではないな。しかし、日本に報じられるアナン氏のコメントには別のディティールがあるので、発言者取り違えということもないか。どちらかがどちらかの表現を引用した、あるいは、ありきたりの表現であるということだろう。面倒なのでアナン氏の元発言を探すのはやめた。
 結局のところ、自分の英語力の無さと根気の無さでこの件についてはこれまでである。別に、だからどうだというのだ。大切なのは、スマトラの被災者に適切な支援が届くこと。私も目下の所、ドルにして1$内外にのぼる支援金送付について、慎重かつ適切な議論の元に、柔軟かつ速やかで効果的な運用が執り行われるよう前向きに善処、検討をしている最中である。