昨年のM-1グランプリにおける千鳥のネタについて

 M-1グランプリの感想は以前記した通りだが、そのとき書かなかったことを書く。千鳥のネタの細かなところについてである。それは、ヨーロッパ中世ごっこをテーマとしたものであった。その中で、架空の地名として「メルボルン」(の王国?)が出てきたのだ。そして、私は大いにこの点が引っ掛かった。引っ掛かったのは私だけでないらしく、審査員の南原清隆も「メルボルンってオーストラリアの地名だよね?」と指摘していた。
 「ヨーロッパ中世ごっこなのだから、そんなのは些細なことだ。むしろ、そのくらいの方がごっこらしい」という意見もあるだろう。しかし、私は「ごっこ」をネタとしているからこそ、ディティールにこだわって欲しかったと思う。それでこそ、キャラとのギャップやボケの本気度が活かされるように思うのだ(ここらあたり、自分でも何を書いているのかわからない。音楽以上に「お笑い」について書くのはむつかしい)。何か、見ている側が中途半端に恥ずかしくなってしまうような、そんな「メルボルン」だったのである。
 と、こんなことを書くのも上のダンセイニを読んだからだが、それ以前にずっと千鳥のネタが引っ掛かったままなのも確かなのだ。次にM-1に出てきたら、今度こそエロ漫才をやって欲しい反面、もう一度「あの丘に向かって走れ」とも思うのである。