牡蠣入りお好み焼き

 スーパーマーケット「TOP」山手店を訪れたところ、大サイズの玉子一パック九十八円という特売であった。これはもう驚歎の価格である。フランス語で言えばQuel bas prix c'est !である。別にフランス語で言わなくてもよろしい。このご時世にあって、これは国を挙げての祭事になるのも仕方のない話と言えまいか。そこで私のレシートには「カコウヨウカキ \224」と印字されることになったのである。むろん火攻用火器ではなく、加工用牡蠣、オイスターである。
 牡蠣は大人の食べ物、という印象がある。ビラビラやグチャグチャで複雑なつくりになっていて、もうトロトロじゃないか奥さん、というのも勿論ある。が、やはり食べ始めた時期も大きい。初めて食べたのは、中学を過ぎたころだったろう。むしろ、小さな頃から牡蠣を食べていた、という人は少ないのではないだろうか。さらに言えば父が広島出身で、私もカープを応援していたことから、かなり遠く縁があるような気もするのである。
 というわけで、牡蠣にお好み焼きなら、広島の名物同士のコラボレーション。不味いはずがない。事実、これがなかなか美味しかった。エビやホタテを入れるくらいなら、牡蠣の方がずっといい。これは久々のヒットだ。これからもおつとめ品的牡蠣を見つけたら、財務状況との兼ね合いを慎重に精査しつつ、積極的に購入することを前向きに検討していきたい所存である。
 ……と書いたそばから、報道ステーションから「ノロウイルスの主な感染源はカキなどの二枚貝……」ときたもんだ。この世に安心して仕事をサボれる場所はないのか。