続・鎌倉で皇太子殿下にお会いしたこと

 天神様を後にして、頼朝の墓の前を通り、鶴岡八幡宮に戻った。その道中も「手、振ってましたね」と身振りを交えつつ五十回くらい言ったと思う。俺はけっこうミーハーなのだ。
 八幡宮へ来た。一昨年の初詣以来だ。やはり人出はけっこうなもの。牡丹園が見ごろ、と看板が出ていたので、園芸品種好きの俺は行こうかと思ったものの、入園料五百円で断念。というか、お賽銭でごっつく儲けてるだろうに、牡丹くらいタダで見せてよ!と思ってしまう貧乏人の性。
 それでも一応、メーンの場所へ行ってお賽銭投げ込んでお参り。階段を降りると、おみくじの自動販売機があったので購入。ありがたみは薄いが、ぴらりと折り目もないおみくじが出てきて、なんか折るのがもったいない。結果は「吉」であった。
 その後、トイレへ行こうと案内標識に従って横道へ。すると、黒い背広姿の人たちがちらほら。この雰囲気には覚えがある。ついさっきのあれじゃないですか。というわけで、トイレを済ませると、すぐそばの建物の前に、わずかな人だかりができていた。どうやら、その建物から出てこられるようだ。もちろん、その場の移動は徒歩でいらっしゃるわけで、SPもさらに多い。ハンディ・サイズの「ここから先立入禁止の区切りロープ」なんかを展開している。俺もせっかくだからということで、二列目あたりで待機。冬だというのに、直射日光がじりじり照りつける。けっこう人が増えてきたあたりで、警護の人の一人がこちらを向いて話はじめた。「後五分くらいで出ていらっしゃいますが、あんまりおさないようにしてくださいね。あと、あちらに歩かれますけど、追っかけて走ったりしないようにお願いします」などと注意する。手慣れた感じだ。
 しかし、それから五分以上経っても何も起こらない。後ろから人が寄ってきては、「誰か来てるんですか」「皇太子様が……」などというやり取りもちらほら。そんな中、ふとイチョウの大木を見上げると、真っ白な鳩が二羽とまっているのが見えた(足早に歩まれつつ、こちらに向かってちょっと手をお振りになられました。そのまま通り過ぎて行かれまして、別の建物を挟んで並行にそちらに向かって歩いてみたところ、途中の建物にお入りになったもよう。
 その後、小町通を歩いて駅の方に。歩いている間、「手をお振りになられた」と六十回くらい言ったかというとそうでもなかった。途中で百円のアクセサリなど買い、小町通の出口に近いMoreという店(http://www.more.yokohama.walkerplus.com/)でローストビーフの乗っかったピラフなど食べて帰った。