深夜無題

goldhead2005-01-25

 どこかにまだあるはずだった。私は薬箱をひっくり返した。小物入れをひっくり返した。調味料の入った戸棚を覗いた。すべての鞄のすべてのポケットをあさった。あらゆるコートのあらゆるポケットをまさぐった。床に這いつくばって机の下を見た。ベッドの下を見た。洗濯物をどけた。CDコンポと壁の間の隙間を覗いた。どこにもなかった。私はベッドの上に丸くなった。私はベッドの上に丸くなって、会社の机の引きだしにあるアルミとプラスチックの包装の、そのとげとげしい手触りを思い浮かべた。その中に包まれた、私の求めるものを思い浮かべた。それは私の部屋のどこにも無かった。私はいつしか丸まったまま眠ってしまった。