日曜洋画劇場『インソムニア』

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 アル・パチーノ主演だし、なんといってもタイトルがいい。『インソムニア』、すなわち不眠症。人によってYMOの曲名を思い出すかもしれないし、ダビスタの高額繁殖牝馬を思い出すかもしれない。まあ、それはどうでもよろしい。とにかく久しぶりに映画作品を一本観ようという気になったわけだ。
 結論から言えば、アル・パチーノの映画だった。ストーリーやミステリ、サスペンス、猟奇要素なんかはオマケだ。白夜と夜無音の街で、忌まわしい不眠に陥るアル・パチーノ。それだけで十分じゃないですか、と。とはいえ、他のキャストも魅力的だった。ロビン・ウィリアムスも「こういうキャラ」というのが画面に出てくる以上にハッキリと伝わってくるし、旅館の女将(これhでは白夜のアラスカではなく、鬼怒川温泉みたいだ)も深みのある雰囲気だった。
 そして、ヒラリー・スワンク。どこかで見たことがあると思ったら、『ボーイズ・ドント・クライ』(ASIN:B00005ULCY←性同一障害役を熱演。ちょっと暗いけどいい映画)の主演だったか。いや、けどこれじゃ顔は思い浮かばないな。最近の女性ボクサー役のやつでテレビやネットで顔を見たからかな。まあいいや。
 『インソムニア』は一種の多重構造的な謎解きものになるわけだけど、一方の主役が若い警官役のスワンクだったわけだ。雪に埋もれた街と、スワンク演じる女性警官。これを見ていて、俺はまったく別の映画のある役を思い出した。『ファーゴ』(ASIN:B00005V2NC)のフランシス・マクドーマンドだ。パチーノから託されたスワンク。彼女もやがてあの街で結婚し、妊娠し、そして人間の理不尽さに立ち向かっていくのだろう。自分が信じていることを果たしながら。
 やっぱりなんか、北の方、雪の街に行きたくなってきたな。よほど俺は春が嫌いらしい。