本当の名曲を知っているか?

マツケンに挑戦状!ガッツ、6年ぶり新曲で紅白狙う
http://www.sanspo.com/geino/top/gt200503/gt2005031506.html

「去年はマツケンサンバだろ。今年の紅白は音頭だ」と同曲で打倒マツケン&年末のNHK紅白歌合戦出場という野望を披露した。

 私はガッツ石松の六年前の曲のことは知らない。しかし、ガッツ石松が歌った、マツケンサンバなど到底及ぶところではない最高の曲を一つ知っている。それは、猛毒が手掛けた一曲である。「なるほど、‘窓の外はガッツ石松’のことだな。けど、あれはガッツが歌ってねえじゃん」とおっしゃる方も多いだろう。しかし、私が言いたいのは「カンバック〜ガッツ石松……再び!!」の方である。
 その曲は、猛毒が誇る日本最高クラスのサンプリング技術と、突出したセンスで、ガッツの静かな語りをフィーチャリングした名曲である。これほどガッツ石松の特性を活かした音楽を、私は他に知らない。はなわがいくら頑張ろうとも、その域に達するのは不可能であろう。
 このような猛毒をなぜ天下のAmazonでは扱わないのか、という話でしめようとしたら、扱ってるじゃないですか。「カンバック〜」が収録されている『ザ・ベスト』だって(ASIN:B00005IGJO)出てくる。俺が中高生の頃に買ってたくだらな、いや、必聴の名盤だって並んでる。これには腰を抜かすほど驚いた。惜しむらくは在庫切ればかりなことなのだけれど、インターネットとはあらためて恐ろしいものなのだなぁ。
 しかしなんだ、猛毒は早すぎたのだろうか、遅すぎたのだろうか。今やインターネットという、ある種社会常識の埒外で、素人だろうと玄人だろうと、好き勝手にどんなものでも公開できる時代だ。どんな毒を孕んだものだろうと、犯罪そのものだろうと。猛毒は、そんな時代が来る前にそれをやっていた。だから価値があるのか。いや、違う。猛毒のセンスはこんな時代にあったとしても輝くだろう。私は音楽について語るとき、私自身の音楽についてのあらゆる欠如から腰が引けることが多い。ただ、猛毒のセンスについては断言できる。単に芸能人に毒を吐いていただけではなかった。放送禁止用語を連発していただけではなかった。猛毒は、日本音楽史に今後百年語り継がれるバンドである、と。