何を踏み切った?

http://www.nikkansports.com/ns/general/f-so-tp0-050316-0001.html

「準急が通過するのを知っていたが、下りていた遮断機を上げてしまった」

 東武伊勢崎線の踏切で4人死傷のニュース。まず「人が踏切の操作をしている」という事実に驚いた人も多かったんじゃなかろうか。俺も驚いた。今朝の「とくダネ!」によると、有人踏切は日本の全踏切の0.02%ほど。機械化されていないのではなく、交通量の多い踏切を、敢えて有人にしているのだという。
 さて、有人の踏切。テレビでさんざん流れているけれど、小屋の中で何やらぐるぐるとハンドルを回す一見古風なもの。下げるときはただ回すだけ、上げるときは解除ボタンを押しつつの操作という。同じく「とくダネ!」で周辺の住民のインタビューが流れていたけれど、「こまめに上げ下げする人と、慎重でぜんぜん上げない人が居た」という話で、そこら辺も何やらアナログではある。
 さて、上のコメント。なんとも不可解で、シュールですらある。一日九百本の電車が通過する踏切の前の小屋。横には踏切待ちの人々の不機嫌そうな姿。そういったものが人を狂わせるのか。そんなもの永遠にわからない話だ。おそらく、本人にも。
 逮捕後、「上り準急電車の接近を知らせるランプをよく確認しないで遮断機を上げてしまった」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050316-00000236-jij-soci)という供述が出た。この件は「不注意」として片づけられ、裁かれるだろう。しかし、私としては最初のコメントの不可解さこそが、この文明社会にぽっかり開いた理不尽の象徴に思えてならないのだ。