愛しのマキビーディーヴァについて

 今年の一月に早くも「もう、今年の春の天皇賞マキビーディーヴァと心中ですよ」と書いた(id:goldhead/20050120#p4)マキビーディーヴァ大阪杯ではなく、エイプリルステークスに来るといった話も出ていて、本気度が高いぞ、と思っていたら、何と母国で「1週間でG1を連勝」(http://www.netkeiba.com/news/news.html?param[no]=14383)ときたもんだ。なんかここまで好走されちゃうと、「お釣りはあるの?」だとか「本当に来るの?」とか思ってしまう。いや、そこはこちらの常識を越えた番組編成で知られるオーストラリアの馬。日本遠征くらいスイスイこなしてしまうに違いない。ああ、早くこないかなぁ。それまではGoogleのイメージ検索で「Makybe Diva」とか入れて、そのお姿を拝むだけで我慢しよう。
 ちなみに、こんな風に勝手に海外の名牝に期待した例が過去に一回だけあった。それは、ペリエを鞍上にドイツダービーを勝ったボルジア(Borgia)である。むろん、チェーザレ・ボルジアの妹、ルクレツィア・ボルジアからの連想があった。この馬についてもジャパンカップ出走の話があって期待してたら、実際に出走してくれた。ただ、時期的に一年遅かった。しかもドイツからフランスに転厩していたのもマイナスであった。
 さて、マキビーディーヴァ。第二のホーリックスとして日本競馬史に名を残せるだろうか。最低でも、スカイチェイスとセイントリー親子の轍は踏まず、無事出走して、無事に帰ってほしいもの。

 などと書き終えて、ふとキーワードを見てみると「マカイビーディーヴァ」の方が主流というか、正しいというような書き方がされている。たしかにスポーツ紙などでその記述を見たことがあるのだが、実際に来るまで最初で見た方のカタカナで、と思っていたのだ。というか、JRAがそう言ってんじゃしかたないか(http://www.jra.go.jp/info/0503/20050317-haruten.html)。いや、何せ「マカイビー」は語感が悪い。ただそれだけなのだけなのだけど。
 しかし、「Makybe」とは何だろう? 「Diva」の方は古くラテン語の女神、転じてオペラの女性歌手、現代の歌姫とか、そんな意味でいいだろう(追記・よくなかった)。ここは一つ検索だ、といっても、さすがに英語のサイトから馬名の語源を探すほどの英語力も気力もない。そうだ、イメージ検索をしてみよう。風景なり物品なりが出てくれば、手がかりになるはずだ!……と、歴史的大発見おめって感じで検索したら、馬しか出てこない。これは手詰まりである。いやはや。

 などと書き終えた後も、ちょっと粘って調べたら由来発見だ。
http://goaustralia.about.com/od/racing/f/makybediva.htm

Stuck for a name, owner Santic passed on the problem to five of his women employees in his fishing business. Not finding inspiration from the bloodlines, the women settled on using the first two letters of their given names in naming the filly.

The five women were Maureen Dellar, Kylie Bascomb, Belinda Grocke, Dianne Tonkin and Vanessa Parthenis whose names are now part of Australian racing history.

 忠実に翻訳してみよう。
 
 女の人生なんて一寸先もわからないものである。釣りの仕事をしていたら、その会社の社長が馬の名前を考えろという。他の四人の同僚とともに書いて提出してみたら、「血統と何にも関係ない名前ばかりじゃないですか」と言われる始末だ。きっとその夜は、ビールをかっくらって、道路で大の字になって寝っ転がったものだろう。しかし、である。社長がやけになり、彼女たちの名前の頭文字を組み合わせて名前をつけた。すなわちマカイビーディーヴァとは、五人の女の悔し涙が生みだした偶然の名前である。そして、その馬がオーストラリア競馬に今後百年語り継がれる名馬となってしまったという事実に、私はただただ身震いするばかりである。