京浜東北線の遅れについて

 九時半を回ったころ石川町駅にすべり込んだ列車はそこで動きをやめた。俺の目的地は石川町と関内の間だ。俺は関内で降りるつもりだったから列車の最後尾に乗っていた。俺が乗り込む山手駅の入口は北側にあるから、もうホーム一つ分歩いていることになる。またホーム一つ分歩くのは面倒だ。しばらく復旧を待つ。女子中学生の集団が、「アサヒ芸能」の中吊り広告を読んでキャッキャしてる。車内放送「大森〜蒲田間で電車故障のため……」。もうちょっと待つ。もう一度車内放送。俺は諦めて席を立ち、ホームを歩き始めた。ホームを歩いていると振り替え輸送のお知らせが入った。俺は歩いて関内まで来た。朝歩くのはそれほど悪いものじゃない。
 社につくと電車の遅延が知れていた。来客予定の人から遅れるむねの連絡が入っていたという。その人は、今まで二度ここを訪れ、その二度とも電車の遅延に巻き込まれていたのだった。