日曜日の一人

 部屋のケルベラ(キョウチクトウの仲間、有毒)の元気がない。原因を考えるに、鉢が小さすぎる以外に思い当たる点がない。しかし、植物によってはかなり小さな鉢と土で元気いっぱいなのもあり、そのあたりは長年の園芸経験などで判断できるようになるしかないのか。そこまでやるつもりもないけれど。
 というわけで、もはや手遅れかもしれないが、伊勢佐木町ダイソーに鉢と土を買いに行った。しかし、関内に通いながら伊勢佐木町まで行くのは月に一度あるかないかである。今日という日を機会に、古本屋に足を運ぶのは当然の帰結である。
 一件目は靴屋の二階にある古本屋。存在は知っていたけれど、足を運ぶのは初めて。量は結構なもの。文学作品よりも思想科学歴史評論の類が中心だ。かなりの時間を掛けて見た結果、島尾敏雄の文庫本とボルヘスを一冊買って計九百円。二件目はもうちょっと先の店。実は珍しく確固とした目的があったのだけれど、その本はどちらにも無かった。こちらではパーッと見回してアメリカ現代小説のアンソロジーと、田村隆一の本を買った。計千百円。金もないのに何をやっているんだ?
 ダイソーへ行った。泣く子も黙る四フロアだ。台所周りのものなど買い、園芸コーナーへ。事前に調べたケルベラのサイズから、けっこう大きめの鉢を買うことになった。さらにハンギング用土と鹿沼土を買った。ミニ観葉植物のコーナーを見ると、「ケヤキ」があった。あなた、ケヤキといえば日本で一番でかくなる類の落葉高木ですよ。その違和感に購入を決意。ケルベラと一緒に植えてしまおうか。百円ショップでの買い物は計六百三十円。ユニクロやその向かいで服を買いたい欲望を抑え(荷物がかなりの重さになっていたから賢明だ)、職場へ向かった。
 職場へ来る途中、すき家でカレーを食べた。二時を回っていた。食べながら気がついたのだけれど、ほとんど咀嚼していないのだ、俺は。だから食べるのが早かったのか。あるいは、「カレーは飲み物」(byウガンダ)ということなのだろうか?なかなかポカポカと良い陽気だったけれど、日の当たらぬこの職場は冷えている。俺は一人で仕事をはじめる。