僕はクローン馬について考えた

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050415-00000073-kyodo-soci

イタリア・クレモナのスパランツァーニ畜産研究所は14日、耐久レースに優勝した馬(アラブ種)の遺伝子をコピーしたクローン馬の生産に成功したと発表した。

 つい最近、イギリスで研究目的のクローン馬生産を認めるというニュース(http://www.netkeiba.com/news/news.html?param[no]=14513)があったばかりだけれど、こちらでは誕生のニュース。もっとも、その記事によればイタリアでは2003年に誕生していたらしい。しかしそうか、クレモナとはイタリアの地名だったのか。カミノクレッセの弟にカミノクレモナという馬が居たのだ。居たのだ、と書いたわりには、妹だと思いこんでいたのだからいい加減だ。検索してみると、クレッセもワイン絡みで名前が出てくる地名のようだ。縁のない話だけれど。
 話をクローン馬に戻そう。競馬ファンには当たり前の話だけれど、サラブレッドにクローン馬は御法度だ。クローンどころか、牛や豚に当たり前に用いられるような、人工授精だってアウトだ。あくまでも自然交配じゃなきゃいけない。もっとも、ソーニューに至るまでの過程はヒジョーに不自然なんだけれども。まあ、それはともかく、そういう建前で競馬の長い歴史は紡がれてきた。競馬というのはそもそも建前で成り立っているものだから、それでいいのだ。天ぷらだとかそういう話もあるけど、それを維持していかなきゃいかんと思う。
 ゆえに、いくらデットーリの義父が出てきても、クローンが競馬に大きな影響を与えるようなことになっちゃいけないのだ。論外。……なのだけれど、上のニュースを読んでちょっといろいろ思ってしまった。それは「“親”のピエラズは去勢された牡馬」という点だ。去勢馬は子孫を残せない。優勝劣敗の建前上、気性難という「劣」を克服する引き換えに、子孫を放棄したのだから残せないのは当然だ。だけれども、ワイドバトルやアラシの子について、いや、ワイドバトルやアラシじゃなくていいや、マーベラスクラウンレガシーワールドの子についてちょっと考えてみなくもないのだ。あるいは、シガーやスプラッシュオブカラー、あるいはウォーエンブレム(キーワードを見たら、女性にも興味を示すようになったようだ。僕の中ではホモ馬という認識のままだった。しかし、女性のタイプにあれこれ注文つけるような種馬も珍しい)について。
 もっとも、ちょっと考えてみただけで、彼らのために建前を崩すべきではない。やはり、建前と歴史がドンとそびえ、そこに当てはまらなかった「たら、れば」が別のところで語り継がれる。それが競馬だ。寺山修司が誰かの言葉を借りて書いていたっけ、「実際に起こらなかったことも歴史のうちである」と。