『絶対安全剃刀』高野文子

ASIN:4592760166
 高野文子といえば『黄色い本』(ASIN:4063344886)を一冊持っているだけなのだけれど、どうにもひっかかる存在なのだ。この初期の短編集という『絶対安全剃刀』をふとめくってみても、やはりその感じは変わらない。さまざまな少女漫画とは全く異質なものとも思う一方で、少女漫画のあるエッセンス―どうにもよくわからないが、魅力的な面―だけを切り出したような作品とも思う。それが「女の子にしかわからないもの」なのか、「女そのもの」なのかもよくわからない。ただ、そう難しく考えたくない本であるのも確かで、どきりと怖くなったり、思わず笑わずにはおれなかったりと、とんだ想像力に唖然としたり、バラエティに富んでいて非常にキュートな一冊なのです、これは。