映画『APPLESEED』監督:荒牧伸志

ASIN:B0001X9BME
 これはこないだ『イノセンス』を見た影響で見てみた。なにせ原作の『アップルシード』の四冊は、ずいぶん昔から持っていたし。その原作の方は、今は無き大船の鎌倉書店で買ったんだっけな。もちろん古本で、士郎正宗の名前もそれほど知らなかったように思う。自分の知らないジャンルの知らない作品をまとめて読んでみるか、くらいの気持ちだったと思う。で、あんまりまとまってはいなかったけど、その複雑さゆえに何度も読み返したりしたものだ。とはいえ、原作ファンというほどに詳しかったり、思い入れがあるわけでもない。
 ……あるでもないのだが、やはり違いは気になってしまうもの。一本の作品にまとめるために、ストーリーというか設定をごそっ単純化してしまうのは仕方ないかもしれないが、キャラの方まで変えてしまうのはなんとも。主人公のデュナンはもっとリアリストで性格悪かったよなって感じで。ブリアレオスの方も、なんか単なるオッサンで、あんまり高性能さが出てなかったし。
 文句ついでに言えば、なんかその小粋なユーモアというかジョーク的なのも足りなかったように思う。例えば、原作にあった訓練シーンの死体コメントとか。そういうお茶目さとクールさが失われて、直球熱情派みたいな感じになっていて、そこら辺がどうにも惜しいような気がしたのだ。
 しかし、だ。それらを補って余りあるほど多脚砲台がよかった。「これがハウルの動く城か!」と思ってしまったほどだった。あれがズシンズシン進んできて、ビルや道を踏みつぶしたり踏みつぶされたりするのはたまらん。あと、多脚砲台ばかりじゃなく、なんだかこう、薬莢がジャラジャラいって、バーッと射撃するあたりとか、ねぇ。やっぱメカ関係はジャンジャンバリバリやらんといかん。CG万歳。なんかもう、このゲームやりてぇとか思った。
 けどなんだ、人物もみんな何やらいう技術のCGなのだった。今やってる『ベースボールライブ2005』なんかにも言えることだけど、なんだろうね、なんか違和感。全くの素人の意見としては、なんか重力を感じない感じ。動き自体はトレースできているのだろうけど、地に足のついていない感じ。ついでに言えば、重力によってもたらされる肉体の情けなさが再現されていない感じ。そんなのを感じる。
 それと、顔。このアニメ顔風3Dは、まあ『ベースボールライブ2005』に比べればマシかという程度。いや求めてるものが違うけど。ただなんだ、あまりにもつるつる光りすぎていて、そこら辺だけ浮いちゃってるようにも思えた。ついでに声優。キャラのせいかもわからんけど、主人公の声がどうも合わないように感じた。DVDのプロフィールのところ見たら、リリ・ボルジャーノ嬢の人なのね。だからなんだというわけじゃないけど。
 そんなわけで、やはりストーリーの単純化によるキャラの単純化(あるいはその逆)がどうにも気になったけど、戦闘シーンはよかったな、という作品だった。いや、単純化だとあくまで原作優先主義ということになるか。そうじゃなくて、これ一つとして見ても、単純すぎてどうかなぁというところ。どうせだったら、知らん人は置き去りで原作の無駄に緻密なテイストを出せばよかったんじゃないのか。いや、アクション面、メカ面、女が薄着な面は取り入れていたと思うけど。けどあれだ、ちょっとおっぱい揺れてもよかったんじゃないのか? いや、おっぱいはいいや。ああいうありきたりの恋愛的な、そういうのって観客動員に必要なんだろか、と。多脚砲台が歩いて、「城が動いた」でいいじゃねぇかと。うーん、自分は単に新しくてきれいなCGが好きなだけなのかもしれん、という可能性もあるな。いやはや。