タイガー&ドラゴンの最終回

 ああ、終わってしまった。しかし、見事なさげだった。最終回の一つ前で起承転結で言えば大きな「転」をしておいて、最後はスッと終わらせるというような。しかしまあ、刑務所に入っていた男が罪を償い元の場所に帰ってくる、という主題。これ一つに愛憎も行き違いも再会も詰め込める、映画一本分くらいの要素(いや、古田新太の回もこんな感じだったか)。そんなあたりの「帰ってきた男」を見事に演じきった長瀬智也は最後までかっこよかった。柱の陰から「二代目小虎」を見るシーンだとか、最後の最後の「じれっタイガー」の唱和の後に見せる表情だとか、ええねぇ。岡田准一もよかったけれど、やっぱり俺は長瀬が良かったと思う。実に。
 で、岡田君の真打ち昇格(あの顔で「どん兵衛」になってしまうのか。しかし、これじゃタイガー&ドラゴンじゃなくなってしまうのね)の一方でそれぞれの三年後も見どころか。銀次郎とのシーンでは他ヤクザの面々も登場でしびれるやり取り。師匠と組長(元)のやり取りも泣ける。しかし、ドラゴンソーダはなぜか大人気店になってるあたり、なんかいい加減な感じでいい。で、そば屋の新しい嫁が外国人で名前も「アニータ」っつー直球ぶりにもかなわない。そこで意味もなく「そばアレルギーなんだよ」ってのも馬鹿でいい。
 しかし、馬鹿でいいといえば何と言ってもナンだろう。なぜ、ナンなのかよくわからないが、なんの前ぶれもなくドラマのさげに持ってくるあたりがクドカンの真骨頂なんだろう(この段落、自己嫌悪いくつか)。肉じゃがや味噌汁をナンで食うあたりは思い出しても笑えるけれど。
 というわけで、なぜかナンと和食という奇妙なイメージが一番強いというのが正直なところなのだけれど、ビデオに録って今朝もう一回見てしまったくらい満喫。かー、これから何を楽しみに生きていけばいいのか。この終わりなき日常は落語のように落ちてくれないところが辛いものでございます。