嵐の中で輝いて

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050906it01.htm

 大型で強い台風14号は、九州のほぼ全域を風速25メートル以上の暴風域に巻き込みながら鹿児島県の南海上を北上、6日にも、勢力を保ったまま九州沿岸に上陸する恐れが強まった。

 私などの古い世代の人間がインターネット接続しておりますと、私は余程の親マスコミ的な人間じゃないかと思えてくる。口の悪い人などは「マスゴミ」と罵って、恰もインターネットに繋がってる事が、まるで新しい真理の発見や悟りの境地じゃないかと言うような自信過剰の様を度々見ることがあり、私などはいかなる媒介を通して目の前に樣々の情報が有ったとしても、肝腎要は目の奥の脳ミソの方であって、それを鍛へるのは新聞を読んだとかネットで調べたとかではなく、ひたすらの全方位に打ち込みし鍛錬のみに思うのだが、それもまた古い考えなのかとも思う。
 とはいえマスコミに苦言を呈したい事だって山ほど有るのですヨ。特に私がマスコミに苛々させられるのは、彼らの自己保身とダブルスタンダードを垣間見てしまった時なのですね。私はマスコミは我々の下世話な関心を集めて届けてくれるところに意義があると思い、そこに「報道の使命」だとかいう建前があるのは実際の所必要な方便とは思うが、それを錦の御旗に前に述べた二つに援用されると鼻白んでしまうのです。
 さて、大型の台風上陸となると、各テレビ局総出で実況中継大会となるのです。今朝のワイドショーも皆それぞれにレポーターを繰り出して、限界ギリギリを目指す一種のチキンレースですね。私もたまたま先週に台風体験車で暴風雨の中に身を置いた(id:goldhead:20050827#p1)わけなのですが、私が朝食をとりつつザッピングして一番健闘してると思ったのは日本テレビでしたね。スタジオにテリー伊藤氏が居たのは偶然だとは思いますが、ほぼ濁流となった道路の上で最早立っていられないとしゃがみ込んでしまうレポーターなどは、なかなかの働きぶりだったと言えます(それを重い機材を抱えて撮影するカメラマンの方が凄いのではないかとも思います。テレビには往々としてそういうことがあります)。さらに土砂崩れのあった斜面や山道に入り込んで「ココにも落石があります」と近づいていく様など、ダチョウ倶楽部の上島氏が「押すなよ、絶対に押すなよ」と押されることを望むのと同じく、「今ここで落石してこいよ、イイ画が撮れるからな」という意志表示にしか見えません。
 しかし、スタジオに戻るとやはり「こんなに危険ですから皆さまは外に出ないように」などと言うんですね。ここがあまり気に入らない。台風の時海に出るサーファー諸君は迷惑な存在なのだが、それを現地で取材するマスコミに対しては「お前が言うな」の世界ではないか。と、なるわけで、これがダブルスタンダードの一つでしょう。何せ、台風を浴びるレポーターはちょっと楽しそうなくらい活き活きと輝いている。俺も外に出たい、台風クラブだ、と服を脱ぎ出す人が居てもおかしくない。とはいえ、今朝のケースではテリー伊藤がそういうことを言ったものですから、お笑い番組のテロップに「※熱くない花火を使用しています」「※訓練された芸人による芸ですので真似しないでください」などと出るのと同じ様なもので、これはアリかなとも思いました。次の台風からは各局「※訓練された台風レポーターによる実況です。危険ですので真似しないでください」「※風と雨は演出を含んでいます」くらいのテロップを入れたらいいのではないかと思うのです。