K−1 WORLD MAX2005〜世界王者対抗戦〜

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200510/12/index.html
 最初のうちはラジオで野球を聞きながらの観戦であった。まあ、実況・解説なしでもそれなりに楽しめるものだと実感した。いくつか気になった試合だけメモ。

レミギウス・モリカビュチスvs●安廣一哉
レミギウスは見ていて小気味いい選手だ。びゅんびゅん動くし、パンチも早くて硬そうだ。ギュッと顔から突っ込んでいって後から右が飛んでくる感じ、肉を切らせて骨を断つというか。立ち技が本職じゃないとは思えない。安廣は心の芯の強さを見せて、KO負けしなかったのは立派だと思った。
アルバート・クラウスvs●大東旭
日本人ボクサーの参入デビュー戦。対するクラウスは、どうにも衣装がいつもダサいと思っていたが、これは改善された模様。試合の方は大東が序盤からラッシュを見せて力を尽くしたという印象。クラウスは飛び技を使うような余裕。初代王者とはいえまだまだ若いクラウスわけで、キック無しのボクサーにこのルールでは当然か。
マイク・ザンビディスvs●鈴木悟
俺は元よりザンビディス贔屓だが、この対戦相手を見てますます応援した。なんですかこの、長身イケメンさんは。ゆけ、ザンビディス、チビの気概を見せてやれ、という具合である。この試合も結果的にボクサーの脚の弱さが出てしまった。考えてみれば、キックの分野の人は、脚の防御はもちろん、攻撃の練習をしても脚は鍛えられていくのではないか。その点、流石にボクサーがすぐに対応するのは無理か。そう考えると、やはりボタは偉いな。あるいは、上半身だって攻撃を受けるようには生きてこなかったサップも。
所英男vs●ガブリエル・リムレイ
所英男はのびのびと戦っている感じがいい。この試合はあっと言う間に終わってしまったが。それに、フリーターファイターというバックストーリーは、格闘技ファン以外にも浸透しやすいらしく、今朝も話題に上った。ボブ・サップ相手とはいかなくとも、大晦日もいい対戦相手と戦ってもらいたい。
ガオグライ・ゲーンノラシンvs○佐藤嘉洋
ヘビー級戦線でやってきたガオグライだけに、ミドルでは力でねじ伏せるような試合に期待していたが……。ヘビーとミドルではスピードが違うのか、急な減量が響いたのか、相手が悪かったのか。相手が悪かったんだろうな。リーチ差を活かしてコツコツとローキックを当てて、相手の攻撃は手堅くガード。放送では二ラウンド目が飛ばされたが、多分一と三と同じだったんだろう。なんだかいいぞ、このけれん味のないマシーンっぷり。というか、セーム・シュルト? ガオグライのけれんは好きだが、この佐藤のハメっぷりもなかなか面白いようにも思うが、果たして。
アンディ・サワーvs●武田幸三
アンディ・サワーはあまり王者に見えない。あのロングスパッツはどうも見た目の強さ五割減みたいな印象だし、サワーという名前も何だか力強さに欠ける。でも、あんまり試合とは関係ないところだ。一ラウンドは武田のローが効きまくりで、こりゃ勝つかと思ったもんだが、次で一気のラッシュ、凄い回転、ストンと武田が落ちる。いやはや、チャンプは伊達じゃない。
秋山成勲vs●マイケル・ラーマ
この試合について最後に書く。一番印象に残ったからだ、嫌な意味で。俺はこの手の格闘技に暴力を求める。オープンフィンガーグローブでがっつんがっつんこめかみをぶん殴るところに魅力がある。四点ポジションからヒザで脳天を直撃されるところが見たい。力量差のあるマッチメークも、強い奴の強さが見られるから多少は構わない。それなのに、それなのに、だ。俺はこの試合を見てドン引きしてしまった。いや、ドン引きという素早い心の動きではなく、じんわりと嫌な気持ちが残ったのだ、いやはや。もちろん、マウントから執拗にパウンドする秋山に対してだ。もう、相手が取ってくれといわんばかりに腕を投げ出しているというに、なんでああするかね。そりゃ、ルールのうちだし、相手もファイターだ。それでもなんだか、そりゃないだろうと思った。俺はテレビが持ち上げるヒーローだろうと、ヒールだろうと、ビッグマウスだろうと、特に誰かのアンチになるということはないのだけれど、秋山に対してはアンチ的な気持ちを抱いた。プロ転向時から、贔屓と言わないまでも柔道出身の実力派として悪い印象はあまりなかったのに、これは残念だ。こうなってくると大晦日、秋山が誰相手にどんな試合をするのか、ある意味楽しみだ。