土曜日の満腹

 土曜日の休日出勤は待ち合わせのようなものだったが案外あれやこれやと時間を食って昼飯が食えずに三時近くになっていた。俺はこのところ朝飯を食べていないのでこれがことのほかこたえたりしたものだが、ようやくどこで昼飯を食うかということになり、伊勢佐木町の方へ歩いていく道すがらの昼は勤め人相手の定食屋で夜は飲み屋というような店に入った。入って唐揚げ定食を頼んだ。たしかにご飯味噌汁おかわり自由と書いてあった筈だ。出てきた定食はなんというボリューム。唐揚げも熱々ジューシーで美味しい。俺はこういう場合めったにおかわりをするタイプではないのだがこのところの餓えている俺なのでご飯おかわり前提でご飯を流し込んだ。この茶碗ちょっと大きいぞ。嘘だろう、ご飯一杯食べ終えておかず残り半分。しかしこれ以上の米が俺の腹に入るのか俺は不安になった。俺の食事進行を見て対面の同行者が訝しがる。俺は片言のおばさんにこう言った「ご飯おかわりおねがいします」。すぐに出てきた温かいご飯。行け俺、食え、俺。俺は食って頑張って食った。なんとか食い終えたときになぜか紙コップに温かいコーヒーが入ったのが出てきた。こういう店独自のルールというかサービスというのは唐突であればあるほど面白い。ウーロン茶も飲み放題なのに。しかしこのコーヒーはありがたかった。胃のものが落ち着いた。しかし、歩けば腹が痛くなる満腹。これで六百八十円ならとてもいい。また来よう、空いている土曜日の午後がいい。今度は味噌汁もおかわりしてみよう。