報道ステーションの憂鬱

 リンカーンの後、チャンネルを回すと報道ステーション。保護司に関する短いドキュメントを放送していた。なんでも、保護司はほとんど謝礼のないボランティアであるが、家族ぐるみで保護観察中の少年のケアに当たらねばならず、啓蒙活動なども頻繁に行わなければならない。取り上げられていたお坊さん(途中から見たのでわからないが、多分)も、「いまの制度はギリギリのところ」と。そして、今後定年制度が始まり、人数不足が懸念されている……と。
 これに対しての古舘伊知郎のコメントがずれていた。「何事もスピードが優先される社会にあって、非効率的な人が人と向き合うことは大切だ」云々。御説ごもっともだが、なぜこの取材を見た後に出てくる言葉か、俺にはよくわからなかった。そういった、あまり効率的にできないが故に苦労も多い仕事を、善意のボランティアに任せるシステムが破綻しつつある。そういう問題じゃないのか。別に三十秒以内に笑えるコメントをしなければ氷水に落ちるというわけでもあるまいに、なんだかな、と。一人語りやプロレス実況に見られた、打てば響くような言葉の切れと豊かさはどこへいったのか。どうにも俺は、この人選は誰も得していないように思えてならない。番組がはじまって随分経つが、未だに思うので未だに書かざるを得ない気になる。