そしたらひろみち、あたしをセロリで殴つて!

 「とんねるずのみなさんのおかげでした」を見てゐたら、佐藤弘道お兄さんが登場しました。私には子もをりませんし、もちろん彼の番組の世代でもありません。しかしながら、民放各局に登場するやうになつてからの、彼の活躍には目を瞠る者があるのではないかと思ひます。
 彼の魅力はなんといつても、そのcharacterが確固としてゐることでせう。伊達に十二年間の長きに渡り子ども番組を務めてきたわけではない。その影響力たるや、石橋貴明木梨憲武、それにYOUの三人とも歌つて踊らせるほどのものなのですから。テレビの前の子ども達も少なからず目を輝かせたのではないでせうか。あるいは、その母親たちが密かに股間を濡らせてしまつたのやも知れません。最後には、木梨のコント魂に火を付ける(そういへば、モジモジ君などは元より子ども番組をmotifにしてゐましたね)やうな力です。まあ、各局も放つてはおけないのも当然でせう。もちろん、舞台に立てば客も大入りのことかと想像します。
 しかし、私にはかねてより彼に挑戦していただきたい分野がある。それは、プロレスです。プロレスのリングにこそ彼の魅力が生きるのではないか。さう思へてならないのです。日体大の体操出身といふ充分な肉体的な説得力がある。ギミツクを付けぬとも十二分の色がある。ベビイ・フエイスを超越したベビイですよ。対戦相手は誰がいいでせう? ‘レイザーラモンHG’でも‘インリン様’でもかかつてこい、といふところです。先の‘ハッスル’では戦隊heroが登場して子どもらの喝采を浴びたやうですが、ひろみちおにいさんこそが最高のプレゼントに違ひありません。
 そして、忘れていけないのは、それを連れる母親たちの甘い花蕾を潤わせることでせう。なんなら、仮面というプロレスならではのペルソナを用ひて、もう一人の、暗黒面のお兄さんを登場させても宜しい。妖しい腰の振り具合に、世のお母様たちもノツク・アウトと相成るわけです。
 まあ、こんなのはつまらぬ妄想には違ひありません。しかし、和泉元彌に出来て、彼に出来ぬはずがないと思ふのも無理はないとお考へくだされば幸ひです。あるいは、首に埋め込まれた鉄線がネツクとなるやもしれません。しかし、さういふものもギミツクになるのがプロレスといふものではないのぢやありませんか。……などなど偉さうなことを述べてしまひましたが、私はプロレスが好きだといへるようなfanではないのです。しかし、新日本プロレスが身売りされた、などという話を聞くと、何でもかんでも巻き込んでいくやうな、それこそ総合を凌駕する真の総合世界が誕生すれば、それはそれで一つの興味深い見物になるのではないかと思う次第なのであります。