靴が欲しい

 俺は靴が欲しくなった。俺はいくらでも靴の欲しい人間だ。服は弟のお古でももらえばいい。しかし、靴は欲しい物を買いたい。靴はいい。靴はいくらあってもいい。イメルダ夫人のように靴を買い集めたい。しかし、俺の足は二本だ。スキヤポデスよりは恵まれているが、たった二本だ。だからいくら靴があっても仕方がない。そう言い聞かせる。俺は靴が欲しいし、そろそろ髮も切りたいし、髪を染め直しもしたい。俺はいろいろ欲しい物があるし、行ってみたいところもある。しかし欲しい物を買うわけにも、行きたいところに行けるわけでもないので、靴が欲しいのだ。