すべては繋がっている

 昨日、郵便受けにJTからのプレゼントが届いていた。ずしりと重いそれは、アルミケース入りのサンプル煙草(ALPHABETの‘C’)。そして、DVDが入っている。印刷物も高い紙と加工で、なおかつDVDである。何より、俺がニコチンタール箱(ジタン)を買った日の夜にこれを届けるのだ。JTのイメージコマーシャルで、世界中のネットワークがバレーボールをつなげていくものがあるが、実に恐ろしき天網恢々とは言えないか。
 DVDの中身は、JTの宣伝部隊(あるいは広告代理店の煙草部隊)が「企業CMなどやりたくないぜ」という思いを結晶させたようなものであった。取り扱うのはアルファベットのシリーズ。すなわち、スライドボックスのアピールだ。繰り広げられるのはZIPPOの着火テクニックのスライドボックス版といえばいいのだろうか、凝ったテクニックで煙草を取り出すのだ。スローモーションと解説付き。しかし、全体のトーンはドラムのリズムをバックにかっこよく決まっている。いい出来映えだ。
 こんなのを見ていたら、思わずマネしたくなる。偶然にも手元には‘C’があるぞ。いや、これは偶然ではない、仕組まれたことだ。しかも、全弾挿入のキツキツでは煙草が飛び出ないので、一本吸わなければいけない。ニコチンが俺を毒す。しかし、一本減ったところで単純にスナップしてもでてこない。これ以上吸いたくないので、二、三本出してよける。そして、レッツ・アクション。狹い部屋に飛び散る煙草。無理です、これは。こんなことをしていては、煙どころか煙草自体まき散らすというノン・スモーキング・クリーンな喫煙者のできあがりだ。壮大に俺をだましたか、JT。そして俺の部屋に残った二箱のニコチンタール箱。