大晦日格闘技大会の感想

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200512/31/index.html
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/pride/live/200512/31/index.html
 総括から言えば、K-1 Dynamite!!があまりにスカスカという印象であった。事前にはPRIDE男祭りどちらがどちらかよくわからないといったものだったが、終わってみると大違いという感じ。必然的に、チャンネルもフジテレビに合わされる時間が長かった。
 ……と、俺は去年の日記(http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20050101)に書いた。今年もそれの使い回しでいいかと思った。いや、今年は事前からプライドの方が見所多そうだな、と思っていたのだからちょっと違う。とはいえ、どちらにも言えることだが、かつての「曙対ボブ・サップ」のような、わけのわからない関心はもう引きおこらないのかもしれない。とはいえ、紅白歌合戦復権するとも思えず、この大晦日の謎の儀式が長く続くことを祈りたい。ここでは、地上波で見た順番にメモをしておく。

 K-1に比べて三時間早いスタートのプライド。しかし、冒頭一時間は紹介VTRで、これはもう見切っているぜ。七時くらいだったか、いよいよ本編スタート。オープニングは高田延彦のタップ。「ふんどしー!」、「脱げー」などの野次が飛んだが、結局ケツとふんどしの披露となった。今回のオープニング演出は結構好きだったな。
 さて、ファーストインパクトと銘打たれた(放送における)最初の試合は、ジャイアント・シルバvsジェームス・トンプソンジャイアント・シルバはイロモノ脱却を本格的に目指しているのだろうか。あと、トンプソン、こいつはパンクというより高見盛だな。
 次は近藤有己vs中村和裕。放送は2Rからだったか、ちょっとよそ見をしてしまった。NHK紅白である。布施明である。「少年よ」を熱唱する(いい声)後ろで、所在なさげな響鬼さんたち。このうえなくシュールで、妙にツボに入ってしまった。最後、中の人まで出てきたのだから、これもNHKが変わったというべきか、迷走しているというべきか。
 続いて瀧本誠vs菊田早苗は寝技合戦。どちらかのセコンドが「呼吸! 呼吸!」言ってるのが印象に残る。しかし、ここでまた浮気して日テレのお笑い番組へ。南海キャンディーズのネタを見たのだけれど、M-1よりずっと面白いじゃないですか。やはり、ある程度の尺の長さが合った方がいいタイプなのだろうか。さらにもう一度NHK氣志團の歌う後ろで曙の有名なダウンシーン。これもNHKが(中略)か。
 そうこうしているうちに、プライドで大きな試合。五味隆典vs桜井“マッハ”速人だ。いつもそうなのかどうかてんで知らないが、マッハの入場曲がハイロウズの「千年メダル」。俺はこの曲が大好きなので、なんかもう鳥肌が立った(さっそく今朝アルバム『ロブスター』を引っ張り出してきて、mp3プレイヤーにぶち込んだ。そういえば、松本人志が宣伝してるベスト盤ほしいな。『ロブスター』のジャケットも松本のものだっけ)。とはいえ、対する五味の入場曲もキャラにあってていい。試合の方は、目を離せない緊張感、そしてスピード。固唾をのんで見守っていたが、バックをとってパンチ連打、立ち上がったところにズドンととどめ。五味強いわ、お見事。しかし、実況でどうも桜井“マッハ”速人を過去形扱いしていたのが気になったが、年齢的に見ても言い過ぎじゃないかと思ったが、どうなんだろうか。五味と十年離れているわけでもない。
 一方で、TBSでK-1が始まってしまっていた。ボブ・サップvs武蔵。しかし、チャンネルを変えて最初に映ったのは、ひっくり返ってる武蔵。スローでサップが後頭部をブッ叩くシーン。武蔵はなんかこういうの多いなぁ。その後のラッシュで武蔵ダウン。10カウント入ったように見えたが、立ち上がって試合続行。
 と、ここで、プライドと試合がだぶりそうに。次の放送はチャールズ・“クレイジー・ホース”・ベネットvs金子賢。プライドらしからぬ、ある意味注目の試合だ。それに俺は、クレイジー・ホース好き(http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20041031#p3http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20050606#p2)なので注目だ。しかし、もうどうでもいい感じでもあるが、一応サップと武蔵も気になる。と、ここで、ベネットがファウルカップのつけなおしか何かでタイムロス。このおかげで奇蹟的にTBSの試合が先に終わる。編集あっての偶然だが、なんとも。で、ベネットと金子。最初見た感じでは、ベネットが遠慮していたのかなとか思ったが、ビデオで見返したら、さっさと腕取れるシーンがいくらでもあったのにこつこつパンチしているので、まあやはり気に入らなかったのかもしれない。試合後の挙動不審もまたいい感じだ。イエローカード出されていたけれど、あれってファイトマネー減額じゃなかったけか。
 K-1では続いて魔裟斗vs大東旭。しかしこれは、急遽組まれた無理筋のマッチメイクという感じで、別に格闘通ぶるわけじゃないが、あまり面白くなさそう。というわけでプライドのミルコ・クロコップvsマーク・ハントにあわせっぱなしに。後からミルコの体調がどうのという話があったものの、それでもハントの試合っぷりは完璧だった。というか、K-1でミルコの勝ちはあったけれど、やはりチャンピオンになったハントの方が立ち技では威張れるのではないか。となると、総合ルールの中で幅を利かせるミルコのキックが相対化される。そこで一日の長があるグラウンドに行こうにも、あなた、あの体格のサモア人と相撲を取って転がせるはずもない。ミルコにとってなんとも嫌な選手のプライド参戦ではなかろうか。しかし、一年の稼ぎを一日で、というわけじゃないが、ハントはいい感じだ。トランクスのずり下がりに注意しつつ、さらなる稼ぎを狙ってもらいたい。あと、判定が割れたのには本当に解せない。
 で、俺はプライドを見てしまったのだが、その間K-1ではホイス・グレイシーvs所英男。惜しいと思いつつもまだプライド。なぜって、エメリヤーエンコ・ヒョードルvsズール。ズールの実力は未知数だが、ヒョードルの試合を見逃すわけにはいかない。しかしなんだ、このズールの体格は。まるでミナミゾウアザラシみたいな……などと思っているうちに、ヒョードルが一瞬でぼっこぼこに。もうなんだろう、これは。いやはや。皇帝の優しい気遣いで、所とホイスの終盤を見ることができた。これはグレイシー・ルールでドロー。
 ついでプライドはヴァンダレイ・シウバvsヒカルド・アローナ。正直、シウバのリベンジは難しいんじゃないかと見ていた(桜庭-シウバの関係のように)が、ここでシウバが勝つのだからたいしたもの。判定に関しては、俺にはどちらでもよく見えたので、スプリットでこんなものかと思った。しかし、シウバへの声援は大きかったように思える。K-1に言いたいわけじゃあないが、日本人じゃなくてもファンは付いてくるもんよ。
 そのK-1曙vsボビー・オロゴン。言葉は悪いが、曙がフリーク・ショーみたいになっていた。もう、本当に体を絞るのはやめたのね。俺はボビー圧勝と思っていたが、曙の重圧の前に苦戦。まあ、あの体勢になってしまったらつらい。最後はもっとボビーにつっこんで決めてほしかったが、まあ素人だし。あと、あの曙の巨体相手にドロップキックもしくは低空ドロップでもしたらどうかと無責任なことを思ったりした。
 そしてついに、メーンとも言える吉田秀彦vs小川直也。あれー?すげえ時間早くね?という印象。プライドは、メーン同士の共倒れを避けてきたというところか。で、この勝負。遺恨、遺恨とマスコミは煽るけれど、正直どんなものかよくわからなかった。というわけで、多少見る側からすると温度差があったのだが、それでもまあ試合は注目。「食わず嫌い」で対戦した武豊ディープインパクトでこけただけに、こちらはどうかというところ。で、打撃あり、寝技ありの攻防で目が離せない展開。しかし、最後は吉田が極めてみせる。試合後、小川の誘いに乗ってハッスルした方がより調和的であったろうとは思うが、それにそっぽ向くあたりの吉田は嫌いじゃない。この後、プライドはヒョードル弟やムリーロ・ブスタマンチ師匠の試合へ。いや、しかし、ウェルター級の扱いはこんなところでいいのかね?
 K-1須藤元気vs山本“KID”徳郁で最後を飾る。が、どうにも釈然としない決着。たしかにKIDのパンチは直撃していたし、パウンドも一発か二発クリーンに入っていた。しかし、止めるのがワンテンポ早いんじゃないかなぁ。まあ、安全第一は何よりだけれどさ。そんなところか。
 あれ? 桜庭和志vs美濃輪育久はどこで見たんだろう? これは入場から終わりまできちっと見たはずなのに。試合自体は地味なグラウンドの攻防に終始したけれど。
 本当に見られなかったのはセーム・シュルトvsアーネスト・ホーストの新旧チャンピオン対決。シュルト先生はここもK.O.勝ちしたらしいが、これを放送しないでサップや曙を優先させるのはどういうことか。あるいは、両者ともにフジテレビのコンテンツ、という見方なのかなぁ。そりゃTBSの今後に寄与する対決ではないかもしれないけれど。
 というわけで、今年の大晦日は全チャンネルを通して、驚くほどプライドを見ていた。来年、いや、今年もあるのならば、K-1あるいはその他の健闘を祈りたい。気が早すぎるか。