http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060216k0000e040094000c.html
お葬式の際、亡くなった人の顔をカメラ付き携帯電話などで撮影する人が増えている。
ぎょっとするような話題。しかし、俺は撮影する人たちに異議申し立てる意味でぎょっとしたわけではない。俺はこの件が他人事ではないのだ。
一昨年、祖父が死んだ。彼の死体があった。俺の手にはカメラ付き携帯電話があった。「これ、滅多に撮れないぞ」と思った。思って思案して、思案した挙げ句、撮るには至らなかった。撮ってしまって、手に負えないと思ったからだ。手に負えない。あるいは、もっと別の感情。結局そのせいか、通夜と葬式の間、一枚の写真も撮らなかった。撮れなかった。カメラ片手に、いろいろ考えたんだ、多分。別に撮ってもよかったが、撮らなかった。まあ、別にどっちだってよかった。
……本当は祭壇の写真くらい残っているのだろうと、パソコンを漁ってみた。漁ったけれど見つからなかった。その頃のフォルダに入っているのは、毎晩のお好み焼きと、エロ写真ばかりだった。昔の携帯で撮ったエロ動画は、どうやってこのPCで再生できるのだろう？
