宇宙刑事の意味論

 首と肩と背中が痛い。ノートルダムの鐘のせむし男(ディズニーの配慮台無し)じゃないが、勝手にそんな姿勢になるような感じだ。
 凝りをほぐすために、腕をぐるんぐるん回してみる。なんかもう、ジョリジョリぱきぱき変な音がする。
 そのとき俺は、小さなころに買い与えられた玩具を思い出した。宇宙刑事のソフビ人形で、肩の所に着火石みたいなのが仕込まれていた。それを暗いところで回転させると「ジョリっ」と音がして、肩の中で火花が散って、光って見えるのだ。
 どの宇宙刑事かが問題になった。俺はとりあえず、ギャバンシャイダーシャリバンと検索してみた。が、それらどれでもなかった。
 実は、打ってるときから半ば気づいていた。俺の玩具は銀色ベースだが、ギャバンではない。なおのこと赤と青ののこり二つでもない、と。
 ようやくたどり着いた答えはジャスピオンだった。『巨獣特捜ジャスピオン』が正式名称らしい。そうか、ジャスピオンか。
 ジャスピオンは他のソフビより一回り大きく、肩のギミックが遊戯の求める可動性に少し逆らっていたように思う。
 そして俺は俺の肩をまた回してみたが、俺の肩は回されても光ったりしない。あらゆる玩具は失われても、まだ少しだけ生きている。