外にでてきたもの

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ホリエモン、94日ぶりに“シャバ”の空気−。ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)=証券取引法違反罪で起訴=が27日夜、保釈された。

 俺はそもそも堀江びいきの人間だった。たとえば、楽天の三木谷みたいなやつはおもしろくもなんともない。堀江の方が同じ成金だとしても、どこかしらドン・キホーテ的な危うさがあって、その破滅と隣り合わせな感じがよかったのだ。
 その堀江が転んだ。俺にとって最高に堀江株が上がったのは、東京拘置所の中にいる間だった。金持ちが独居房に転落したからおもしろい、というのではない。あの理屈もしくは屁理屈のモンスターみたいなのが、ああいう状況になっても変わらない、完全否認というのがおもしろい。拘置所の生活に対応するのがおもしろい。どうやら健康的な麦飯食ってるらしいというのもおもしろい。読書で時間を使うというのもおもしろい。もう一度言うが、俺は拘置所の中の堀江が一番良い堀江だったと思う。あのモンスターだかマシーンだかみたいなヤツが、牢屋にいる。それを想像するだけで俺はおもしろかった。
 しかし、その堀江が出てきてしまった。痩せて、髪が伸びて、やっぱり風間杜夫っぽいじゃないか(id:goldhead:20060125#p1……注:また否定された)。それでもやはり、出てきてしまっては、なにかおもしろくない。それはもちろん、ライブドアに帰るわけにもいかず、いったいどうなるのだろうというのは興味深い。裁判だってある。しかし、俺はなにか拘置所の堀江がよかった。このまま何年も、何十年もなにかの手違いで忘れられて、それでも健康的に麦飯食って読書続けるようなのがおもしろかった。
 どうなるか知らない。獄の外は自由だ。また罪を犯す自由もある。自殺する自由もある。誰かに殺される自由もある。わらわせろ、おもしろがらせろ、たのしませろ。生きるエンターテインメント。