萩尾望都の作品について

 あるサイトで、萩尾作品についてのアンケートが行われていました。上から確認していきましょう(今、この時点で)。『トーマの心臓』、『半神』が三票、『11人いる!』『百億の昼と千億の夜』、『温室』が二票と、ここまで複数票をなします。いずれ劣らぬ名作の序列と言えましょうか。『温室』は未読でありますが。
 個人的なところを言えば『トーマ』は原作よりも、それを下敷きにした『1999年の夏休み』がマイ映画ベスト5に入ろうかという勢いなのでありますが、当然原作に魅力なくして映画もなしといったところでありますギムナジウム。「半神」は短編ながら大きな印象を残す傑作といったところでありましょう。
 『11人いる!』は、はじめアニメから入った記憶があります。それも、小学校のまだ幼いところだったでしょうか。半陰陽の彼もしくは彼女の存在に妙にどぎまぎしたり、もちろんスリリングなSF的展開にも深い印象を抱いた覚えがあります。続く『百億の昼と千億の夜』は原作つきで原作小説未読ながら、はたしてこれが漫画として描かれていることに、そのときちょうどSF小説をぽつぽつ読みはじめた私には衝撃でありました。
 ほかに挙げられている項で私の記憶にありますのは、おお『スター・レッド』、これもSFもので、くらくらさせられる代物で、かなり好きな部類といえます。細かなところで印象深いのは彼女の「見え方」を描いてみせたところでしょうか。そして、『ポーの一族』、「なぜこの項がない」という項作の言う通りの代表作でありましょう。これはいつかまたしっかり読んでみたいと思うものであります。
 さて、私の一番好きな作品はというと、さらに名のあがっていない『ローマへの道』のスピンアウトというマイナーな『感謝知らずの男』か、あるいは『メッシュ』『メッシュ』のラストシーンの駅のホームのあの、あるいはあっけないと言えるかもしれない、あのシーンがいい。その後の親子もの(?)には『残酷な神が支配する』がありましょうが、こちらは途中まで読んだが、どこまで読んだかわからず放置中とあいなっております。こうだらだら記憶の糸をたどっておりますと、なんだか久しぶりに、文庫版の厚いのの一冊でも欲しくなってきてまいりました。もちろん古本で、であります。