ワールドカップ:イタリア対オーストラリア

goldhead2006-06-27

 のっけから青一色の画面。これは、アズーリのブルーではなく、サムライブルーの呪いに違いない。しかし、アナウンサーが「辛い思いをさせて申し訳ありません」などと言っているのがおかしかった。そりゃ、楽しみにしていた熱心なファンもいるだろうが、この場合「辛い思い」という言葉はどうかと。
 そういえば、日本のサムライブルーもサムライであって、日本=サムライという実にベタな発想。そういう意味でオージーも同様、「俺たちはカンガルーしかねえな」というところで開き直りがある。こういうあたり、自らを客観視して馬鹿になれるあたりが大人の国というか、まあ何か余裕じゃないかと思うわけだが、どうだろう。そういう意味で、「カンガルーはいません」を売りにするオーストリアがもっと大人なのかもしれないが。
 まあ、そんな話はどうでもよくて、試合、試合。イタリアの試合を見るのはこれが初めて。俺のようなのにも半分以上の選手の名前くらいは知っている。そして、やっぱり‘リンギオ’ガットゥーゾ。これもいくらかサッカーの方でそのキャラを知ってはいるが、何より俺にとって印象深いのはイタリアのどっきり番組にだまされていたときの彼。車かなんかにいたずらされて、ネタあかしも何もなく「ケツにぶちこむぞ」と怒鳴りながら仕掛人を追い回していた(id:goldhead:20050621#p2)。まあ、サッカーとは関係ないけど。いや、そういうプレイスタイルなのか。
 それはそうと、前半はイタリア優勢。しかし、キーパーのシュワルツァーをはじめとした、オーストラリアのまさに肉弾守備がそれを阻む。オーストラリアにもチャンスあるが、こちらもブッフォンはじめ守備は堅い。最後はイタリア勝つかなとか思いはしたが、全然ひけを取らないオーストラリアのたいしたもの。気後れのようなものは全くないように見える。
 そして、後半直後にマセラッティにレッドカード。解説者やアナウンサーも「赤は厳しい」というふうであったが、素人目にも黄色でよさそうな気はした。「俺ごと刈れ」ばりに、味方の足までひっかけたアグレッシブさがマイナスだったか。しかし、これで試合は面白くなる。格下オーストラリア優勢。しかも、一人減った相手にゴリ押しするのではなく、ゆっくりじわじわと攻めて行くのだからにくいことやってくれるじゃありませんか。いやはや、こういうところまでヒディンクの思想が行き渡っているのだろうか? とはいえ、イタリアもカテナチオを捨てたわけでもなく、簡単には崩せない。
 で、リッピとヒディンクの用兵。先にどんどん手を打ったのは前者で、三枚目にトッティなど投入すると、攻撃に行き吹き返す。一方の動かないヒディンクついにアロイージ投入。こちらもオーバーヘッドキック(空振り)を見せるなど、動きがでる。俺はこの時点ではまだイタリアが、たとえばベッカムフリーキック一発でどうにかしたイングランドマキシ・ロドリゲスのミドル一発で決めたアルゼンチンのように、なんだかんだいって勝つんじゃないかと思っていた。しかし、その後にカードを切らないヒディンク。無理をしたところでカウンター食らうより、延長戦で確実に絞め殺そうという発想か。この慎重さで、ひょっとしてオーストラリア勝つんじゃないか、と思いなおしたロスタイム。まさかあそこでカード出るとはねえ。トッティがきちんと決めてイタリア勝利。
 ……素人目にはちょっと正直、後味の悪い試合のようにも思えた。審判の二回の判定が試合を作ってしまったように見えたのだ。単なる偶然の組み合わせだったにすぎないのかもしれないし、最後のもまあ、ああいうふうに体投げ出して進路塞いだらアウトなのかもしれないけれど。そして、試合後の予期せぬ事件がさらに試合の印象をわけのわからないものとした。サッカーとはなんの関係もない、日本で起きた事件が。いやはや。最初も最後もトラブル、トラブルで、試合も放送もなんともいろいろあるのがワールドカップなのだなあ(いい加減な〆だ)。