ワールドカップ:四強出そろって

 準々決勝、ブラジル対フランス戦を見た。見たのだが、途中でちょっとうとうとしてしまった。しかし、後半、ブラジルが、ブラジルが負けようとしている、何とかして勝とうとするブラジル、そのあたりははっきりと見た。負けたのを、はっきりと見た。でも、俺はあまり驚かなかった。
 もちろん、試合前からフランスとブラジルの各選手の能力や戦術面を比較してそう思っていたわけではない。サッカー門外漢にはわかりっこない。俺が持っていたのは、「ブラジルは優勝できないんじゃないか」という、大会前からの漠然とした予感。門外漢ゆえの発想だろうか、こいつは危ない一番人気じゃないのか、というにおい。だから俺は、アルゼンチン優勝を予想してみた。狙いたくなるオッズだったからだ。
 ああ、しかし、ブラジル。ロナウジーニョの大会になるどころか、ここで姿を消してしまった。これまた門外漢の印象としては、「エンジンがかかる前にレースが終わった」。そんな感じ。全力を出しきって負けたのではなく、試運転からずるずると来てしまったという雰囲気。グループリーグ時はならし運転の印象だったが、そのまま進んでしまったような。日本戦、やはり六点くらい獲らなければいけなかったのかもしれない。まあ、あまりに前評判が良すぎると、疑いたくなるところがあるというもの。
 一方で、生き残り組は前評判を覆しながら来たチームといったところだろうか。前評判といっても、スポーツ紙と完全予想本程度しか知らないが。ドイツ、「こんなグループにしなければ予選敗退するんじゃないか」とか言われていたらしいし、まあ、結果論的ではあるけれど、直前に日本とドロー、とか。フランス、ベテラン頼りでどこまで保つのかと。しかし、先に進むごとに調子はあがってきているみたい。
 ああ、そうだ、俺は「○○の大会」にならないものかと考えたが、それに当てはまる適任者はジダンか。むろん、フランスが優勝したらの話。それだけの存在感というやつではないだろうか。負けたらそれが最後の試合という構図。
 とはいえ、別にフランス応援の気持ちはないな。かといって、ドイツに魅力を感じないし、イタリアもぴんとこない。消去法的にはポルトガルフィーゴの濃さはジダンに匹敵する。でも、アルゼンチン応援したほどの力の入りようは、もうしばらくないだろう(サッカーにおいては。日本代表には……熱くなるチャンスがなかった)。もちろん見るし、見て「うおー」って思ったりはするだろうけどさ。