赤玉スイートワインとはなんぞや?

 こないだの宝塚記念の日のこと、フランス行きを壮行する意味で、俺はひさびさにワインを買ってみた。とはいえ、俺の買うワインなどたかがしれたものに決まっていて、その日もスーパーでミニチュアボトルのようなやつを仕入れただけ。おまけにそいつは、飲みながら気づいたんだが、カリフォルニアワインで、思いっきりイタリア名前が入っていたから、フランスとは縁もゆかりもなかったというわけ。
 そんなわけで、なぜかワインづいてしまった俺。昨夜もスーパーの棚を見ていると、安価なワインの一つに「赤玉スイートワイン」を発見。はて、「赤玉ポートワイン」なら聞いたことがあるが、それの仲間だろうか。「お母さんの、そのまたお母さんの時代から……」などとパッケージに書かれているので、古くからのものには違いあるまい。とりあえず白を、買ってみる。
 そして、飲んでみた。「?」。なんだこれ。ワイン、なのか? 口当たり甘く、ワインにある酸味や苦みのようなひっかかりがいっさいない。シロップとかそういったものをつるつる飲んでいる具合。ボトルには、オンザロックやホットでもと書いてある。どうせならと氷を入れて冷やしてみたが、ますます何を飲んでいるのかわからない。しかし、このなんとも人工的な風味……トリスだ。これはトリスのワイン版だ。俺はそう思った。
 さて、今日調べてみる。
http://www.winery.or.jp/member/suntory.html

サントリーの歴史はワインから始まりました。創業者の鳥井信治郎は、日本の洋酒普及のため1907年(明治40年)に「赤玉ポートワイン(現赤玉スイートワイン)」を発売し、大人気を博しました。

 まあ、なんとこの赤玉こそが、大サントリーの礎を築いたというようなものらしい。そもそも社名のサントリーの由来が、この赤玉(太陽=サン)+鳥井なのだから、もうサントリー生みの親みたいなもの。そこまでのものだったか。しかし、一方でこの甘口ワインが普及しすぎたために「ワイン=甘い、女の飲み物」のような偏見のもとにもなったようだ。「三増酒の普及で本来の日本酒が誤解されている!」みたいなものだろうか。いやはや。まあ、間違いなく俺の中の山岡さんが出てくる(id:goldhead:20050906#p2)代物ではあった。そのせいか、サントリーのサイトでもほとんど生きた商品としての情報は得られない(ワインコーナーから入っても見つからない)。だいたい、添加物「酸味料」で、いったいどこからこの甘みは出てくるのか……。
 とはいえ、同じ値段でとりあえず内容物的にまともではあろうワインが買える時代、それでも赤玉は生きている。これはもう、サントリー社の歴史に対するこだわりなのか、やはり赤玉にこだわるファンが依然根強いのか。まあ、トリスにもそういうところはあるけれど、たとえばスコッチが持たないような、妙な凄みはある。「これはこういうもんだ」という開き直りのようなもの。俺は生意気にもシングルモルトウイスキーを愛するのだけれど、たまーに、トリス飲みたくなったり。ああ、しかし赤玉、思いっきり悪酔いした俺は、はたして残りをどうしようかと思案するところではある。