大いなる誤解、君は死者になんと告げるのか?

http://www.sanspo.com/sokuho/0718sokuho045.html

日本高校野球連盟名誉会長で高校野球の体質改善に力を注いだ牧野直隆(まきの・なおたか)氏が18日午後3時40分、膵臓(すいぞう)がんのため、兵庫県西宮市の兵庫医大病院で死去した。95歳。

 俺は大変な誤解をしていたことに気づいた。亡くなられた牧野直隆氏についてである。俺はずっと、彼こそが「高野連天皇」の異名を取った高校野球界の中心であり、さまざまなゆがみの元兇とすら思っていたのである。そのゆがみとは、過度の教育性重視や、理不尽とも思える連帯責任制。それがどうだろう、記事によれば「不祥事の連帯責任制の軽減」などと出ているではないか。全くの逆。俺の思いこみはまったくの間違いであった。それで、こっそりとお詫びしたいと思った次第。
 では、どうしてこんな誤解をしていたのか、思い返してみよう。おそらく「高野連天皇」という、あるいは不謹慎かもしれない異名。これを、おそらく小学生のころくらいに父の口から聞いた。たしか、多くの高校野球批判とともに。それで、強くインプットされてしまったのだろう。そして、それ以後長く牧野氏がこの職をつとめていた(1981〜2002)ということが、固定化された原因のように思える。
 ところで、「高野連天皇」とは誰だったのか。検索してみるとあまりヒットしないが、牧野氏の前に会長をしていた佐伯達夫氏ということで間違いないようだ。父は彼を指していたのだろう。
 しかしなんだろう、佐伯氏も故人である。そうすると、あまり批判はしにくいし(何よりそれだけの材料が俺に無いのだが)、どうもこの連想をしてしまったのが不謹慎のようにも思える。とはいえ、亡くなろうとも、存命中に人がしたことはしたことというのは変わりがないし、佐伯氏が亡くなったのはずいぶん前のことだ。でも、いくら前でもいいのか。いや、生者を批判してよくて、死者はいけないのか。死者にむち打つのはもってのほかだが、批判的な評価は別ではないのか。ここらあたり、考えれば考えるほど泥沼という印象。
 ……というわけで、とりあえずは「訃報は訃報に収めて、それ以外は多く語るべきではない」という教訓を勝手に得た。語るべき内容のほかに、語るべきタイミングも考えるべきだということ。と、書いてアップするのも矛盾のように思われるが、自戒としたい。最後に、とってつけたように、合掌。