リンカーンでのこと

 久々にリンカーンを見たのは、スピードワゴンの安達裕実と結婚していない方の方が、先のワールドカップにおける日本対ブラジル戦のPVに、セレソン衣装で乗り込んでいるらしき映像が目に入ったからです。途中からだったのですが、あれは本当の会場だったのでしょうか。いや、あれだけの人数なので本当なのでしょう。
 というわけで、この日のリンカーンは、芸人が「ガッツ」を意味するVTRを出して競い合うというものでした。結果として優勝はバナナマン日村勇紀さん。しかし、流石に亀田やHERO'SのTBSとでも言いましょうか、ここでも疑惑の判定となりました。
 日村氏の出したVTRは「一万匹のゴキブリの中で熱唱」というもの。どこやらか地下室のようなところで、真新しく嘘っぽい「第三実験室」の中。その中の仕切られた場所にポリバケツが用意されており、中には……という仕掛けです。中に入り、いよいよポリバケツを蹴倒してスタート……というところでCM。嫌悪感を抱いた人は、松本人志の指摘するとおり「裏番組の阿部ちゃんのドラマ」に行ったものでしょう。私はもちろん、そのポリバケツいっぱいのゴキブリを胸いっぱいの期待感で待ち望みました。部屋に現れるものに関しては、一匹だってNGです。だけど、映像ならなんてことはない。
 が、その先が期待はずれもいいところ。蹴倒したポリバケツから出てきたのは、そうたいしたことのないちょぼちょぼのゴキブリだけ。正直、一万匹がどれだけのものか見たこともないのでわかりませんが、たとえあれが一万匹だとしても、ボリューム不足は否めない。しかも、その後にお花の画面になり「お見苦しい場面をお見せしました」のテロップ。放送事故のパロディでお茶を濁すというわけです。これでは私納得できない。
 なぜ、こんなことになったのでしょうか。まずは、本当に嫌悪感を呼び起こす状況になったという可能性。悲惨でガッツある映像は撮れたが、OKが出なかったということ。あの演出からすると、こう思ってもらいたいものと思われます。しかし、私はこれに懷疑的です。一瞬映った映像からするに、ゴキブリの量はたいしたものではなかった(それでも百匹、二百匹というレベルではないかと思いますが)し、動きがどうも活発ではなかったようにも見えたのです。そこで私が考えたのが第二の説。すなわち、たいした映像にならなかったから、あえて隠した。さらに言えば、活発でないゴキブリを踏みつけて、殺してしまった。アメンボだってゴキブリだってザビエルだって生きているんだ、友達なんだ。そういう動物愛護系の声を気にしたのではないか(実際ゴキブリをかばう人/団体があるのかは知りません。しかし、死んだ/死にかけのゴキブリは、生きて這い回ったりするゴキブリより気持ち悪いかもしれない)。そんなところの配慮まであるのではないでしょうか。
 こんな風に邪推してしまうのは、ペヤングの前科(id:goldhead:20060517#p1)があるからです。あのケースでは実際に撮れたというわけで、今回の邪推とは違います。しかし、信頼が無くなるというのはこういうことなのです。ボクシングだって、格闘技だって、信頼を失えば「亀田次男の歌は口パクじゃないのか」などと、競技本来の核となるところまで疑われてしまう。そういう話なのです。
 ちなみに、VTRのデキとして一番面白かったのは、さまぁ〜ず大竹の日焼けだったかと思われます。しかしあれも、スタジオで脱がなかったことに引っかかりが残る。お笑いに真実性がどこまで必要かという話もありますが、真実性を担保とする場面では必要とされる部分もある。そういうひっかかりです。そういう意味で、おぎやはぎのスカイダイビング→暴力(あれは一緒に降りてきたスカイダイバーでしたか?)→パイ投げ→罵倒→プロレス技→火の輪くぐりは真正のものでした。しかし、おかしさという点ではどうでしょう。盛り合わせが必ずしも美味しいとは限らない。FUJIWARAの原西vsイタコ。これはイタコの方があるいは面白く、また、原西のギャグはツボに入る人以外には耐えやすいのではないかと思われます。
 というわけでリンカーン、やはり「ダウンタウンお笑い番組なのに惜しい」という感想を抱かずにはおれません。最後のモノマネはすぐに見るのをやめましたし、お笑い番組を見るよりも皿洗いを優先させたくなるのは少し悲しいものです。